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2018.10.05

ライフ

職場の20代に「育児と仕事の両立が不安」と言われた


職場の20代がわからない Vol.23
30代~40代のビジネスパーソンは「個を活かしつつ、組織を強くする」というマネジメント課題に直面している。ときに先輩から梯子を外され、ときに同期から出し抜かれ、ときに経営陣の方針に戸惑わされる。しかし、最も自分の力不足を感じるのは、「後輩の育成」ではないでしょうか。20代の会社の若造に「もう辞めます」「やる気がでません」「僕らの世代とは違うんで」と言われてしまったときに、あなたならどうしますか。ものわかりのいい上司になりたいのに、なれない。そんなジレンマを解消するために、人材と組織のプロフェッショナルである曽和利光氏から「40代が20代と付き合うときの心得」を教えてもらいます。
「職場の20代がわからない」を最初から読む

 

「選ぶ」ことは大変なこと

今回のテーマは「選択」です。人は一生の中で、複数の選択肢の中からひとつに決めるという判断を数え切れないぐらい行います。判断や意思決定という行為はとても精神的なエネルギーを使うことが知られており、ある個人が判断を長時間繰り返した場合、その後の判断の質が低下するようです。これは「決断疲れ」と呼ばれています。
重要な判断をするための精神エネルギーを確保しておくために、アップルのスティーブ・ジョブズやフェイスブックのマーク・ザッカーバーグは毎日同じ服を着ているというのも有名な話です。私が昔所属していた会社の先輩も、一緒に行ったお昼ご飯がブュッフェだったときに、「人生でこんなに選ぶものがあるのに、お昼ご飯を選ぶなんて面倒くさい……プロがあつらえたものをそのまま食べたい」とか物憂げに言っていたのも思い出します。ともかく、物事を選択するということは大変なことなのです。
 

“まだ決めていない人”が悩む

特に、今回のタイトルのような「育児」や「仕事」となると、その人にとってはどちらもかなり大事なものでしょうから(そうでなければ、不安とか言ってないで、さっさとどちらかを選んでいるはずです)、その選択の際の負荷も大変なものでしょう。ちなみに、こういうことを言うのは、まだ選んでいない人です。
片方に力を入れるのか、両立をなんとか頑張るのか、既に決まってしまった人は、悩みません。悩んでいる暇などないですし、決まったことを悩む意味もない。決めたことを一生懸命やるので精一杯だからです。
ですから、悩む人は「まだ産んでいない人」「まだどちらに振り切るか、両立するのか、決め切れていない人」が多いと思います。そういう人が、「育児」と「仕事」という、どちらも甲乙つけ難い、人生にとって大切な2つのものの間を、振り子のように揺れて悩んでいるのです。


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