デニムが労働着からファッションに昇格したのは、第2次世界大戦後のこと。それ以来、世界中のスター、若者たちが、デニムを魅力的にはきこなしてきた。その伝説のデニムスタイルには、今見ても格好良くなるヒントがいっぱいだ!
ジョニー・デップのセレブなアメカジに学ぶ
ジョニー・デップほど、ファッションにブレがないアメリカのセレブリティはほかにいない。ジュニアアイドルとして脚光を浴びた’80年代後半から現在にいたるまで、授賞式などでドレスアップするときを除けば、アメカジを貫いてきた。
’89年にパパラッチされた際の私服は、ワンウォッシュのストレートデニムに真新しいエンジニアブーツの初々しいアメカジ。’92年頃には長髪になり、ヴィンテージ風レザー×ニットジャケットを好んで身に着け、よりグランジな雰囲気に進化する。
そして、2003年に公開された映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』の頃には、ベロアのテンガロンハットに、タート・オプティカルやリバティ・オプティカルのヴィンテージのメガネ、古着風のスエードジャケットとデニム、ノーズが剥げたブーツというスタイルを確立。この頃になるとフォロワーが爆発的に増加し、特に“タート”のヴィンテージメガネは、彼が人気に火をつけたと言っていいだろう。
今回ピックアップするのは、彼の’90年代のスタイル。いつの時代も着続けているスエードジャケットにチェックのシャツを合わせて、下半身はボロボロのデニムとブーツ。’80年代初頭にザ・キッズのギタリストとして活躍したミュージシャン時代を連想させるスタイルは、若々しくてワイルドで光り輝いている。
55歳となった現在の彼は、役作りなのか病気なのかは不明だが、大幅に痩せてファンを心配させている。年老いたロックスターの雰囲気だ。とは言っても、やっぱりジョニー・デップは、アメカジ派のスーパースターであることに変わりはない。’90年代のジョニーを懐古しつつ、今後のさらなる進化に注目したい。
ミュージシャンのワイルドさが残る’90sのジョニー・デップ風に
’90年代のジョニー・デップは、いい意味でミュージシャン時代のワイルドな薫りが残っていて、抜群にカッコいい。その頃の雰囲気を、現代風にアレンジしたのがこのスタイリング。
スエードジャケットはダークブラウンを選び、インナーは白Tとオンブレチェックのシャツが最高にロックだ。ダメージデニムはブルーだとワイルドになりすぎるので、都会的なブラックを。眼鏡は旬を捉えたフランスブランドのクラウンパント、靴は極太のストラップがポイントのクラークスで、まんまコスプレにならないように中和した。
スエードのテーラードタイプも
ジョニー・デップのワイルドなスエードジャケットの着こなしには憧れるけれど、ちょっと難度が高いと思ったら、テーラードジャケット型を。ドレスアップはもちろん、Tシャツの上にサラッと羽織ってもサマになる。織物産地の富士吉田市にアトリエを構えるオールドマンズテーラーのものは、クオリティの高さ、上品な雰囲気ともに抜群である。
鈴木泰之=写真 柴山陽平=スタイリング 境 陽子=イラスト 増田海治郎=文