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2018.10.04

ライフ

緊張と解放が隣り合うスピードの世界 〜Speed Stars〜


ただくつろぐだけでも気持ち良い時間を過ごせ、サーフィンをした瞬間に人生は大きく変わってしまう。ひとつのシーンからそんな海の魅力を発見していくコラム。
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今回は「Speed Stars」


初めて波に押されてテイクオフした瞬間、人生が変わった。そう話すサーファーは多い。波に押されて得られるスピードは、自分の足でどれほど一生懸命に走っても得られないもの。ゆえに、想像を超えたスリルと、高揚感があるのだ。
かつて、同様のフィーリングはバイクに求められた。だが現代はポルシェのようである。8月上旬には、ドイツ最北の島、ジルト島でサーフィンとポルシェをテーマにしたイベント「ペトロサーフフェスティバル」が開催。ドイツサーフィン発祥の地に、1964年から’98年までに製造された空冷ポルシェがヨーロッパ各地から集結した。
またカリフォルニアの名シェイパー、クリス・クリステンソンはポルシェから特製サーフボードのオーダーを受注。ウインドサーフィン界のレジェンドであるロビー・ナッシュは2台の911を所有して、在住するマウイ島で、海から上がっても興奮に満ちた生活を送っている。近年、かように蜜月ぶりに拍車がかかる両者なのである。
サーフィンとバイクの蜜月ぶりは作家の片岡義男氏が多くの著作で書いてきた。たとえば、バイクでコーナーに挑み、遠心力と重力のバランスに身を委ねる状況は、ビッグウェーブをメイクしたときの状況に似る、といった類いのものだ。
ポルシェの場合、その優美なデザインと鋭い走りが、先鋭的なサーフボードで波を疾走する様に似る。ともに追求するのは美しさと速さ。そして両者を手中にしたときに覚える高揚感と興奮が、乗り手を虜にするのである。
 
Sven Hoffman / PETRO.SURF=写真 小山内 隆=編集・文


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