控えめに言って、ノーデニム、ノーライフ。デニムのおかげで僕らは、毎日輝ける。今秋も、デニムが百花繚乱。ブランドもシルエットも加工もデザインも本当に多種多様だ。
そんな「デニムがあるから」できるコトを前・後編に分け、計8つのセンテンスでご紹介。この秋もやっぱりデニム選びに夢中になる、その魅力を改めて!
デニムがあるから僕たちは……
①「お洒落がしたい」がやめられない、とまらない
基本の上に応用あり。いつだって僕らのお洒落のベースには、デニムがある。その基本が盤石ならば、一段上のお洒落にも挑戦したくなるというもの。それは今や看過できないビッグシルエットにも当てはまる。クリーンなデニムに合わせれば、ご覧の輝きに。
こちらは両胸ポケットのシャツジャケットで実践。ウォッシュ&タンブラー加工でソフトに仕上げたコーデュロイのドレープ感と生デニムのハリが対照的に。サイズ感に加え、素材感でも遊んでいる。
’60年代のフランスヴィンテージ服をモチーフにしたツイードコート。いつものスウェット&デニムに羽織るだけで「今」を纏って見える。もちろんこれは、ほんの一例。デニムがあるから、あの手この手で、最新のお洒落に食指を動かすことができるのだ。
デニムがあるから僕たちは……
②移ろう時代の中でも変わらず、迷わず「男らしい」
何がって、揺るぎない「芯」に惚れている。インディゴの綾織り生地による5ポケット。誕生以来不変といっていいフォーマットの力強さは、デニム特有だ。だから、アメカジ、渋カジ、デルカジ、キレカジ……など、時代とともに「スタイル」は多様に移ろう。だがそれを経てなお、中心にはデニムがあり、僕らに「男らしさ」を示し続ける。
デニム初挑戦というオーラリーの一本は、米綿のムラ糸を限界まで強撚し、洗っても生デニムのようなカリッと感が持続。生地から作るブランドの信条に基づいた「芯」のある物作りだ。淡いスエードジャケットにリングブーツを合わせた現代の渋カジスタイル。ここにもやはり、変わらぬ「男らしさ」が滲んでいる。
デニムがあるから僕たちは……
③派手色に屈しない、地味色に期待できる
なぜだろう、僕ら男は色使いに自信がない。手に取るのは基本色ばかりで、ブナンにまとめ、満足しているところがある。それはそれでOKだけど、お洒落の楽しみのうちの半分程度しか味わっていないことになりはしまいか。そこでデニムの出番。
ベーシックなインディゴが、合わせる色を巧みに引き立たせてくれる。インパクトに臆しがちな派手色や、手玉に取れないと諦めがちな地味色もボトムアップ。
例えば、ネオンカラーのグリーンをハードウォッシュのデニムで爽やかに見せれば……
燃えるような朱色をリジッドデニムが調和させる、ということも。
あるいは、シブさ際立つグレーのツイードジャケットは、ゆったりしたセルビッジデニムのシルエットで若々しさが加わる。
そしてコックリした秋色、ダークモスのブルゾンはニュアンスのあるチェックシャツを挟みつつ、フェード感のあるデニムで全体のトーンをグラデーション。重くならず、軽快な印象でまとまる。
こうしてデニムを頼りにすれば、ムズカシイ色への挑戦も楽しいお洒落に変わるはず。
デニムがあるから僕たちは……
④いい革靴、いい時計で、いい大人の余裕が演出できる
リアルクローズ。その言葉が象徴するデニムは、僕らの休日に溶け込むように寄り添う。昔から変わらない身近な存在だ。年を重ねてみて気付いたのは、このデニムが“抜け感”となる新しい魅力。美しいフォルムの紳士靴や由緒ある機械式時計といった小物によって、色落ちしたデニムが「大人らしさ」の舞台装置に変換されるのだ。
例えば、英国ノーザンプトンの老舗、チャーチのローファーのオレンジブラウンが放つ艶やかな輝き。世界初の紳士用実用腕時計を出自とする、「サントス ドゥ カルティエ」に滲む洗練とモダニティ。気取らないデニムスタイルが浮き彫りにする格式ある小物のプレステージ。こんな装いにこそ、大人の余裕が漂うのだ。
川田有二=写真 菊池陽之介=スタイリング 勝間亮平(masculin)=ヘアメイク