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自分で自分を攻略する

そうしたメンタル面での自分へのプレッシャーとは別に、いざ実際に洋菓子をつくる店で働いてみるとめちゃくちゃ楽しかった!という。
「こんなに楽しい仕事があるんだったら早く言ってよ! って感じでしたね。といっても初日の作業なんて、イチゴのヘタを取ったりスポンジを切ったりするぐらいのものでしたけどね(笑)。途中でつまみ食いとかして、わ〜美味しい~って」。

杉窪さん、お菓子の職人として世に出て以降今日に至るまで、仕事が楽しくなくなったことは一切ないらしいのだ。
「専門学校を卒業してから2〜3年は“天然”ですよね。職人とはどうあるべきかっていうことが身に染み付いた状態で職人の世界に入ったわけですから。僕自身の自覚とは関係なく、そういうもんなんだよなって思いながらやってきました。それが変わったのは20歳のとき」。
高校を卒業して専門学校に1年通って就職を迎える、“普通に高校時代を過ごした同級生”が店に入ってくるから。彼らより2年先んじている自分が、同じように時間を過ごしていいわけがない。
「絶対負けない! って思って。そこで“オタクになろう!”って決めたんです。負けたくないというモチベーションもそうなんですが、“オレはオタクなんだ”という自覚さえ持てば、食べ歩きも勉強も、練習も仕事も……お菓子にまつわることすべてが楽しく感じられるだろうって思ったんです」。
この時に強く意識したのが「自分の攻略」。自分にどんな長所・短所があって、それを踏まえてうまく賢く仕事をしていかねばならない。“天然”である自分を見据えて理解して、そんな自分にハッパをかけるにはどうすればいいのか。

「まず自分を騙すことかなと思ったんです。オタクって、自分の向き合ってる対象が好きで好きでたまらないでしょう? “いい加減寝なさい!” “勉強しなさい!”って言われても、ずーっと漫画読んだりゲームしたりしてるじゃないですか。僕は洋菓子に対してそのモードになればいいって思ったんです」。


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