連載「山カジのススメ」Vol.3
深い緑、広がる雲海……大自然にどっぷり浸かり、登山を楽しむ男たちが増えている。その理由のひとつは、ひと昔前と異なるそのスタイル。ここ数年盛り上がっている登山のカジュアルな楽しみ、略して“山カジ”を、日帰り登山を通じて体感してみよう。
連載「山カジのススメ」をはじめから読むアウトドアライターの猪野正哉氏を迎え、これまで2回にわたりライトに楽しめる登山入門を教わってきた。ギアの選び方まで把握できたとなれば、いよいよ実践編。登山へ行くという猪野さんに同行し、教えを請いながら登山をリアルに体験してきた!
緑の中を悠々と歩く愉しみ。頂上までの距離を実感するのもまた楽しい
同行させてもらったのは、栃木県日光市にある国立公園の一部、男体山。標高2486mの日本百名山にも入る山である。登りは4時間、山頂での休憩を1時間、下山で3時間という計8時間のスケジュール。日が落ちる前には下山する必要があるため、この日は朝8時に山登りをスタートした。
1合目は周囲に笹の葉が生い茂る登山道。猪野さんの足取りを辿るように進んでいくが、空は晴れ渡り、清らかな空気も気持ちいい。森林浴気分で、歩を進める。
よく聞く”山の○合目”という数字は、山の高さを10分割した距離。現在の位置がわかるような石碑や看板が建てられている場合が多く、数字が増えるにつれ「ここまで登って来た!」と目に見えて実感できるのは、意外と楽しい。
ただ登るだけじゃない、歩き方にポイントがある!
山を登る際、足の運び方にポイントがあるそう。歩幅を小さくし、一定のペースを保って歩くこと。これにより体力を温存させることができるのだ。しかし、登山のルートは舗装された一般道とは訳が違う。足元が岩場になったり、勾配が急になったり、突然変わる足元の状態を気にしつつ、一定の速度を保って歩くのはなかなか難しい。
ほかにも、山道で気をつけるべきなのは“浮石”。浮石というのは、不安定で崩れやすくなった岩や石のことを指すが、これを踏むと傾斜の道を岩や石が転げ落ち、落石による事故にも繋がる。もちろん、間違えて乗ってしまうと捻挫などの原因になる危険な石だ。
登山は先頭を歩く人間がペースを作っていくが、この日は猪野さんが先導を切って進んでいく。さすがは登山のプロだけあり、ゆっくりとしたペースを保ちつつ、浮石をキレイに避けながら前を進んでくれる。そのため後に続く人間も安全な道を進むことができた。まさに、猪野さんの背中に進むべき道を教えられていたのだ!
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