長い歴史をもつ名門のアイテムには、史実に基づいた心惹かれるエピソードがつきものだ。そして今季、ロマンを届けてくれそうな新作がまたひとつ。きっとついつい惚れてしまうに違いない。
グッチのルーツをたどって英国へ
左●H54×W40×D21cm 33万7000円、右●H23×W24×D12cm 25万円、/ともにグッチ(グッチ ジャパン 0120-88-1921)グッチは紛うことなきイタリアのブランドであるが、創設のきっかけが英国にあったことはご存じだろうか。創設者のグッチオ・グッチは若かりし頃、ロンドンの名門ホテル「サヴォイ」でベルボーイをしていた。そのとき、上流階級の宿泊客が持つ美しいトラベルバッグに惚れ込み、故郷のフィレンツェに戻ってバッグを作り始めたのである。
つまり、英国を代表するトラベルバッグブランド、グローブ・トロッターとの今回のコラボは、グッチが自らのルーツをたどるための旅のようなものかもしれない。もちろんそんな話を知らずとも、グローブ・トロッターならではのクラシックなデザインと、グッチのアイコニックな「GGパターン」が見事な融合を果たしていることに、異を唱える者はいないだろう。
知る人ぞ知る文字盤、その数奇な出自とは?
チタン(DLC加工)ケース、44mm幅、手巻き。90万円/オフィチーネ パネライ 0120-18-7110ツウにも絶大な人気を誇るパネライの“カリフォルニアダイヤル”をご存じだろうか。その3時と9時より上半分がローマ数字、下半分がアラビア数字のダイヤルは、1936年に製作したプロトタイプがモチーフ。
本拠地、フィレンツェを襲った’66年の大洪水で多くの資料が散逸し、製品もしばらく忘却の彼方へ。ところがのちにその時計がカリフォルニアで発見され、この愛称がついたといわれている。
フィレンツェで生まれ、カリフォルニアを経由し、フィレンツェで復活、という数奇な出自と、ミリタリー色の強い「ルミノール」のブラックケース&レザーカフの仕様。まさにタフネスの塊、といったところか。
最先端の技術やトレンドを落とし込んだアイテムも当然いいけど、ロマンを感じるアイテムを手元に置く幸せも、この機会にぜひ味わってほしい。
清水健吾=写真 柴山陽平=スタイリング