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テープからデジタルへのダビングも「アナログ」感覚でGood!

……と、ここまでの紹介では、単なる復刻版ラジカセでしかないTY-1710だが、その真骨頂は21世紀の最新機能にもバッチリ対応している点にある。こう見えて、USBメモリやSDカードを使ったデジタル音源の再生/録音にも対応しているのだ。

もちろん、カセットテープのデジタル録音にも対応。再生や録音はMP3形式のみ対応で、デジタル録音時の音質も固定(録音データをPCで確認したところ128kbpsだった)されているが、それでも埋もれていたカセットテープの音源が、PCやスマートフォンで聴けるようになるのは、涙がちょちょぎれるほどうれしいはずだ。
まずカセットテープの録音開始部を頭出ししてから「ポーズ」で一時停止。そしてUSB側の「録音」ボタンを押し、さらにカセットのポーズを解除すると録音開始という、まさにラジカセ感覚の “ダビング”手順も、かなりのこだわり。オートリバースではないため、手動操作でA面とB面で2ふたつのファイルを作成する必要があるのも、デジタルとアナログが渾然とした感覚で、むしろ好感が持てる。
カセットテープをデジタル変換するための機器は当然ほかにも存在し、TY-1710よりも高性能で使い勝手が良いものも当然ある。音質にこだわる人なら、そちらを購入したほうが良いだろう。

一方、TY-1710の魅力は、デジタル変換の操作にまでこだわった、 “懐かしさ”の追求にあるといって良い。とんねるずのANNをエアチェックした「That’s」の120分テープ、レンタル店で借りたデュラン・デュランの新譜を録音するため思い切って買ったマクセルのメタルテープ……なんてフレーズに胸キュンしてしまう新人類なら、迷わずこちらを選ぶべきなのではないか、と軽い提言で本文を〆る筆者なのでR。
文=石C光三



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