OCEANS

SHARE

「僕自身、不安がなかったかといえば正直嘘になる。皆さんに心配していただいた直前の怪我もあり、思うように動けないストレスと向き合いながら研鑽を積んできました。その裏には当然、4年前のブラジルでの悔しさもあります。
この4年で自分の何がいちばん変わったかといえば、上に行くためにどうすればいいのかと、日々、自分自身に向き合えたこと。うまくいかないときこそどう振る舞うか、どう自分を鼓舞するかが大事。
どれだけ前向きにその状況を受け止めて、今やるべきことをブレずにやり続けるか。シンプルですが、それこそが、逆境に打ち勝つ手段。このプロセスがあってこそ、結果を残せたのだと思います」。
「普段はシンプルな服が多いです。年を考えるとスーツやジャケパンをビシッと着こなせるようになりたいですね」と、シックなワントーンコーデで取材に応じてくれた。腕時計「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー16」SSケース、43mm径、自動巻き。52万円/タグ・ホイヤー 03-5635-7054、その他私物
気付けば、かつての若武者は30歳目前。大会直前には、メンバーの平均年齢の高さから「おっさんジャパン」などと揶揄されもしたが……。
「もちろん僕らの世代には、良い面も悪い面も含めて、若い年代の選手では得られない経験があります。ヨーロッパで長いシーズンを過ごした選手も多い。だから、厳しい状況で自分が何をすべきかがわかっていました。
逆境といわれた今大会で、皆さんからも日本代表大丈夫かと懸念されましたが、それほど気にしていなかったんです。というのも、僕らは目の前のやるべきこと、つまりW杯の舞台での勝利、これに邁進するだけでよかった。そして、僕らならできる、失うものは何もない、そう感じていましたので。それほど逆境とは感じていませんでしたね(笑)」。
日頃、「良きオッサン」でありたいと掲げるオーシャンズ世代でも、共感できる部分や学ぶべき部分があるだろう。経験に裏づけられた自信、そして、それを糧に邁進する姿には、人の心を打つものがある。とはいえ、香川真司も人の子。毎日が「戦闘モード」ではないだろう。気になるのは、オン・オフの切り替えだ。


3/3

次の記事を読み込んでいます。