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2018.09.01

ライフ

大ヒット漫画家・三田紀房が30代に伝えておきたいこと


OCEANS’s PEOPLE ―第二の人生を歩む男たち
人生の道筋は1本ではない。志半ばで挫折したり、やりたいことを見つけたり。これまで歩んできた仕事を捨て、新たな活路を見いだした男たちの、志と背景、努力と苦悩の物語に耳を傾けよう。三田紀房は大学卒業後、百貨店勤務を経て経験ゼロから30歳で漫画家デビューを果たした。そして当代きっての売れっ子のひとりに。その人生、いったい何があったのか。
>三田紀房さんのインタビューを最初から読む

物語を作るうえで大切なのは「今」

三田さんにとって、漫画はリスクの低いビジネスだという。とくに百貨店に勤務し、実家の洋服店を経営したからこそ痛感する。洋服店を営んでいた時代、毎月毎月悩まされていた「仕入れ」が一切ない。すべて“自社製造”の商品を売ることができるから。しかも売れるまで店頭に並べておく必要がない。それはすでにオーダーされたもので、作れば売れることが決まっていて、即現金を得ることができる。
今、キャリア30年にして漫画を描いていくうえでの、三田さん独自のメソッドは「商品設計」と「生産システム」の確立。「これは三田紀房の作品である」ということが認知される“型”のようなものができていれば、作品は走り出す。
「キャラクターがいて、その人が何を目的として動いていくのか、何をする人なのかっていうのが明確になっていれば、僕の場合、漫画は約8割できたも同然です。『クロカン』は“三流野球部の高校球児を甲子園に連れて行って全国制覇する”という流れ。『ドラゴン桜』は“落ちこぼれの高校生を東大に合格させる”ということ。そういう目的と話の流れができれば、あとはどんな『生産システム』を採用するか。だからこそ、今やっている『ドラゴン桜2』みたいな外注でも成立するんですよね。こちらから設計図を送ればどんどん漫画になって仕上がってくる。その分、始める前には、いわゆる“工場の生産ライン”にあたる部分をどんなふうにつくるのかを、しっかりと決め込んでいないといけないですけど」。
アイデアは重要ではない、ともいう。あたかも桜木建二が見開きの大きなコマで力強く主張しているかのようなひと言。三田さんの場合は、終始笑みをたたえながら静かに話してくれるので、キャラ的にはまったく相反するのだけれど。
「最初にも言いましたけど、僕、構想は一切しないタイプで、この先何週かのことぐらいしか考えていないですから。ホントその時々ですね。ずっと先のことを考えてもその通りになるかはわからないし、そうならなければ考えるだけ無駄でしょ(笑)。時代も世間もトレンドもどんどん変わっていくから、その都度その都度気になることを取り入れていったほうがいいと思っているんですよ」。
だからこそ、読む側のリアルな今の気持ちに響くのかもしれない。ちなみに作中で主人公たちが強く主張している言葉は、三田さん自身の主張なのだろうか?


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