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2018.08.23

ライフ

作家が“食える”場を創りたい。「街おこし×アート」が持つ可能性

海の街<熱海編> Vol.11
若い世代を中心に進められた“街のリノベーション”により、現在では観光地としてだけでなく、二拠点居住や移住の候補地としても注目を集める熱海。さまざまな試みが実践される中、ひときわ目立つのが「アート」とのかかわりだ。使い古された手段という感もある「街おこし×アート」を、彼らはどのように再生させたのか。中心人物に話を聞いた。
「海の街<熱海編>」をはじめから読む

場本来の魅力を隠すようなアートでは、街おこしはできない

「正直なところ、既存の『アートによる街おこし』には、昔はまったく興味が持てなかった。むしろ、距離を置きたいとすら思っていたんです」。
こう語るのは、この街を拠点に活動しているアーティスト・戸井田雄氏。別府温泉(大分)、岩室温泉(新潟)のアーティストが熱海に集ったアートイベント「混流温泉文化祭」を主宰したほか、現在も定期開催される「海辺のあたみマルシェ」の事務局長を務めるなど、地域とアートをつなぐユニークな試みの数々にかかわっている人物だ。
「過去にも、地域型のアートイベントに参加した経験があるのですが、そこでアートそのものが話題になることは少なかった。それにアートによって街の“見た目”は変わったとしても、それが本当に街おこしなのかと、疑問を抱くようにもなっていて」。

例えば、廃業した商店のシャッターに絵を描くような試みをイメージすれば、戸井田氏の感じた疑問を、理解できるかもしれない。こうした、地域が持つ“顔”を“綺麗に”覆ってしまうようなアートは、戸井田氏が表現したいテーマとも大きな隔たりがあるという。
戸井田氏の作品「根底/Roots」(2012)
「僕が、自分の作品を通じて表現したいのは、いわば“あるのに気付かれない”価値。例えばシャッター通りのような場所にも、そこにしかない価値が必ずあるわけで。空き家だったら、空き家そのものに価値を見出し、そこから考えるきっかけを与えるような作品を創りたいんです」。


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