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目標は、間伐した檜の木で家の内装を手がけること

しかし、いくら日本の森林を守るといっても、太田さんには家族もいる。28歳で結婚し、その1年後には第一子が生まれた。現在は、家族と住む逗子の自宅と林業活動の拠点である熱海を行き来する日々を送っている。
家族は「木」とともに生きる太田さんのライフスタイルをどう思っているのだろうか。

「そこまで嫌がられてはいないと思っているんですけど(笑)。たぶん面白がってくれているんじゃないでしょうか。山に子供を連れていったこともありますよ」。
生活に関する不満や悩みを感じる時間もないという。最近では趣味の釣りやサッカーをゆっくり楽しむことも減ってしまった。それぐらい、太田さんのなかで「木」は大きな存在なのだ。
今の目標を聞くと、「間伐した檜の木をフルで使い、家の内装を全部手がけること」。拍子抜けするほどシンプルで、それでいて太田さんらしい目標だ。
「それができたら楽しいだろうなあ。間伐材で庭をデザインするっていうのもやってみたいですね」。
好きなことをして生きるというのは、じつはすごくむずかしい。その裏には多くの努力と時間が必要だし、もちろん経済的な負担もともなう。
だからこそ、「木」に関しては収益やリスクは大きな問題ではない。作業をしているときの太田さんの目の輝きが、それを何よりも物語っていた。
 
藤野ゆり(清談社)=取材・文


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