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「日本の家はなぜ“外材”ばかりなのか」という疑問

太田さんが建築の世界に飛び込んだのは20歳のときだ。大学で建築学を学び、建築現場でアルバイトして現場の仕事を覚え、27歳で独立した。
13年間建築業界に身を置き、現場仕事を大切にしてきた太田さんには、仕事をするうえで素通りできない疑問があった。それは「日本の家を作るのに、なぜ外国の輸入材木(外材)ばかりを使うのか?」ということだ。

「日本の山に対する危機感のようなものを持ち始めたのは、今から10年ほど前のことでした。仕事柄、木に触れる機会は多いけれど、その木がどこから来たものなのかわからないことが多い。それはおかしい気がして、もっと木について、山について、知りたいと自然に思うようになったんです」。
その答えを探すため、30歳のときに熱海市が主催する自伐型林業の研修に参加した。
自伐型林業とは、採算性と環境保全を両立する持続的な森林経営のことだ。森林は国土の7割を占める。この森林活用のカギとして注目を集めるのが自伐型林業である。1年間の研修では、チェーンソーの使い方など、林業の実践的なノウハウを学んだ。
「日本では、森林保護のために間伐された木は切りっぱなしにされる。山にそのまま捨てられてしまう切り捨て間伐なんです。こんなに使える木がたくさんあるのに、外国産の木材ばかりをわざわざ輸入しているなんて、単純にもったいないじゃないですか。じゃあ何か僕にもできないのかなと」。


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