連載「37.5歳の人生スナップ」
もうすぐ人生の折り返し地点、自分なりに踠いて生き抜いてきた。しかし、このままでいいのかと立ち止まりたくなることもある。この連載は、ユニークなライフスタイルを選んだ、男たちを描くルポルタージュ。生き方のヒントが見つかるはずだ。
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横浜と山梨の二拠点生活をやめて完全移住へ
リモートワークで働く人がフリーランスとは限らない。多様なワークスタイルを認める会社も年々増え、多くの人がオフィスに縛られない働き方を選択している。
福井開三さん(38歳)もそのひとりだ。ただし、福井さんの家があるのは勤務地から遠く離れた山梨県北杜市。サラリーマンでありながら自然豊かな地方へと移住し、リモートワークを実践している。
勤務先は横浜にある子育て用品の輸入卸会社で、海外メーカー品の販売企画職。以前は営業職だったが、移住を機にプロモーション業務に就いている。
「営業の経験を生かしてバイヤーとの商談や、親子向けのイベントを行っています。リモートワークを認めてくれた会社には本当に感謝しているので、仕事で恩返しできればと思っていますね」(福井さん、以下同)。
朝7時に起きて朝食をとり、コワーキングスペースに移動。夕方6時ごろまで働くと、自宅に戻って子供とのんびり遊ぶ時間を持つ。これが福井さんの平均的な1日の過ごし方だ。
大の子供好きで、前職は保育園経営の運営管理業務を行なっていた。子育て用品を扱う現在の会社に転職したのは5年ほど前。そして2年前、会社のある横浜から家族で山梨県へと移住した。
「今年3月までは横浜と山梨の二拠点生活。神奈川県内に安アパートを借りて、平日はそこから会社に通い、週末は山梨に帰ってきて家族と過ごしていました」。
しかし、「家族と一緒の時間をもっと増やしたい」との思いが募り、会社の承認を得て、山梨への完全移住を決定した。
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