頑丈さはどこまで必要? 把握しておきたい災害リスク
古い物件の場合、必ず確認しておかなければいけないこともある。それが、耐震性。日本は地震大国。不動産投資にとって、震災は大きなリスクのひとつだ。
長嶋さんは「ポイントとなるのは、物件の建築確認を受けたのが1981年6月以前か以降か。1981年6月以降なら新耐震基準で、基本的には現在と同じです。また、建物形も重要です。凹凸が多い、コの字型やL字型の物件は、見た目は格好いいのですが、直方体の建物に比べると地震に弱い。築年数が古いなら、そのあたりも考慮しましょう」と語る。
「もうひとつ、確認しておきたいのが地盤です。例えば、渋谷などは同じ地域内に岩盤と砂地の地盤が混在しているのですが、揺れには岩盤のほうが圧倒的に強い。新耐震基準に適応していないけれど固い地盤に建っている物件と新耐震基準に適応しているけれど柔らかい地盤に建っている物件では、前者のほうが地震に強いことも多い」とのこと。
地盤の硬さは、国土地理院のホームページに細かく記載されているので、購入を検討している物件があれば、必ず確認したい。
また、購入を検討している物件は、必ず自分の目で確認することも重要だ。長嶋さんは「まず、物件を借りるターゲットを思い浮かべます。その人の気持ちになり、駅から物件までを歩いて街の様子を確認したり、エントランスやゴミ置き場から住民の雰囲気を感じたりして、総合的に借りたくなる物件かどうかを判断しなくてはいけません」と教えてくれた。
慎重な人は半年ほどかけて物件を探して購入するというが、不動産投資は購入したからといって終わりではない。RPGをクリアしたと思ったら、「そして、この瞬間から新たな旅が始まる……」といったあれだ。不動産投資の場合は、ズバリ“管理”である。次回は、物件購入後になにが発生するのか、注意すべきポイントはなにかに迫る。
【今回のマネー賢者】 長嶋 修 業界初の個人向け不動産コンサルティング会社『さくら事務所』を設立。以降、さまざまな活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”の第一人者としての地位を築く。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任。主な著書に、『マイホームはこうして選びなさい』(ダイヤモンド社)、『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ社)など。コージー林田=取材・文