結局、いまは買い時なのか? 専門家の答えは……
この連載(マネークエスト)を読んでいる投資初心者のみなさんは、まずは副収入レベルからだと思うが、ここで心配事がひとつ。世の中的は、不動産バブルなどと言われているが、今買ってしまうと、高値掴みしてしまうのではないだろうか。
率直に尋ねると長嶋さんは、「不動産の物件価格が高値圏であることは事実ですが、それはあくまで平均値の話。不動産物件の購入は最終的に“個別の相対取引”です。チャンスは減っていますが、色々な事情である程度安い金額でも早く売りたいという売主は定期的に現れます」と教えてくれた。
ここぞとばかりに、もうひとつ気になっていることも聞いてしまおう。日本は少子高齢化が進み、人口は減少するばかり。「日本の地域別将来推計人口(平成30年推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)によると、2015年の日本の人口は、1億270万9500人。しかし、2045年には1億64万2100人まで減少すると予想されている。これは、マイナス16.3%という数値だ。
「人口は減りますが、賃貸物件を求める人がゼロになるわけではない。むしろ、特定の物件は人気が集まり、価値を維持、場合によっては上昇すると考えています。大体、全体の15%程度でしょう」と長嶋さん。
気になるのは人気が集まる物件の条件だ。
「最も影響が大きいのは、立地です。ありていに言えば、駅にどれだけ近いか。具体的には、徒歩7分以内が目安とされています」とのことだが、詳しい物件の見極め方は次回に回すとしよう。
実は、サラリーマンに向いているという不動産投資。物件価格は高値で、人口減少社会においてはダウントレンド……かと思いきや、選び方によってはチャンスがあることも分かった。
そこで次回は、不動産投資を始める初心者が身につけておくべき心得とはなにか。具体的な不動産投資の考え方や物件の選び方について賢者から伝授してもらう。
コージー林田=取材・文
【今回のマネー賢者】
長嶋 修
業界初の個人向け不動産コンサルティング会社『
さくら事務所』を設立。以降、さまざまな活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”の第一人者としての地位を築く。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任。主な著書に、『マイホームはこうして選びなさい』(ダイヤモンド社)、『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ社)など。