ふた言目には「シンプルがいい」なんて言いがちな我々としては、いわゆるアノニマスデザインは無視できない。
ただ、没個性となることまでは望んでおらず。そんなアンビバレントな大人を救済するアイテムを、お馴染みのあのブランドが考えてくれた。
カチカチ回したくなる!? 価値ある進化を遂げた「ダナー」の靴
オーセンティックなポストマンシューズ……と思いきや、靴紐の代わりに搭載されたのは、ダイヤル操作でクイックに脱ぎ履きができる「ボアクロージャーシステム」だ。
ハイブリッド感のあるアプローチでシューレースのわずらわしさを解消した画期的なアイデアだが、手掛けたのがダナーと知って納得。
何せアメリカで初めてビブラムソールを採用、世界初のゴアテックスブーツの開発など、これまでも革新のプロダクトでシューズを進化させてきたオーソリティーだから。
靴紐のないミニマル顔は、ワーク由来の男クサさとモード感が共存し、足元のさりげないアクセントに。カチカチと回す装置でファンクション&ファッションの価値を高めた、実にダナーらしい一足である。
ステレオタイプにならないための「メゾンマルジェラ」のバックパック
一見シンプルなナイロン素材のデイパック。だが、お馴染みの「4ステッチ」をバッグの“顔”たるフロントにデザインし、主張を効かせることで、しっかり個性を出している。それなのに、シリーズ名が「ステレオタイプ」だなんて。こういうウィットにもヤラれちゃうんだよな。
周囲から浮きたくはないけれど、かといって埋没したくもない。そんな微妙なお年頃のOC世代にとって、こいつらは、まさに助け舟となるのでは?
清水健吾=写真