両親がそろって子供を責めてはいけない
子供の後方支援をするだけでなく、前のめりになる母親をたしなめるのも、中学受験生の父親の役割のひとつと言えるかもしれない。
Bさんの家庭では、小6の秋、息子が模試を受けたくないと言い出した。困り果てる妻を援護しようと思い口論に参加したBさんはつい、「模試は受けなくていい。そのかわり、もう受験はしないんだな!?」と息子を脅してしまった。
その後1〜2カ月、子供のモチベーションは下がったまま戻らなかった。そこでとうとう母親がキレた。「こんなに親が一生懸命にやっているのに成績が上がらないなんて! 受験なんかやめなさい!」。中学受験生活最大の修羅場だった。
そこでBさんが仲裁に入る。そのときはじめて、ありのままの子供を見て、妻に肩入れするでもなく、自分の本心で語りかけることができた。「お父さんは受験をやめても怒らない。いままでのことは無駄にならない」。
それを聞いて、息子は沈黙した。待つこと2時間。ようやく口を開いて出てきた言葉は「(こんな僕でも)受験していい?」だった。それから息子は自分の意志で机に向かうようになった。なんとか第3志望に合格した。
「子供と一緒に頑張っている妻の意見を尊重しなければと思うあまりに、子供よりも妻側に立っている自分がいました。でも、父親までもが子供を追い込む必要はなかったと反省しました。母親主導の中学受験の場合、父親は、困ったときにこそ相談してもらえる立場にいるのが良いのではないでしょうか」。
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