気が付くと眺めている。そして、どんどん引き込まれて行く。作り手の美意識が宿るデザインや仕掛けが、たまらなく愛おしい。そんな鑑賞的価値の高い腕時計たちをご紹介。
HERMÈS
エルメス/カレ アッシュ
随所に趣向が凝らされた角形時計の新提案
四隅のアールにモダンを感じさせる正方形のケース。実は、2010年に登場した同モデルのリバイバルだ。随所に目を凝らせば、縦横に直交させたギョーシェ彫りや、その外周を飾る真円状のあしらいが正方形のケースとリズミカルに調和。
受ける光に応じて表情を変える点には、建築家にしてデザイナーであるマルク・ベルティエの卓越したセンスが垣間見える。また、どこか計器を思わせる2桁表示のインデックスには、男らしさも滲む。どこを取っても、うっとりする要素しかない。
PARMIGIANI FLEURIER
パルミジャーニ・フルリエ/カルパ エブドマデール
人間工学に配慮した着け心地の良さに感動
ミシェル・パルミジャーニ氏がデータを収集し、人間の手首に装着した際に最適なバランスで重みがかかるよう設計。結果、生まれたのがユニークなトノウ型のケース「カルパ」だ。
コレクションを一新した今年登場の8日巻きモデルには、ダイヤルに精緻なギョーシェが施される。装着感の快適さに加え、その美観ゆえ飽きることなく着けられる。
CHANEL
シャネル/ボーイフレンド スケルトン
シャネルの美世界を飾る額縁のようなスケルトン
今年のバーゼルワールドで、多くの賞賛を集めたスケルトンウォッチ。ビスが見えないよう仕上げた正面の顔をはじめ、どの角度から見ても美しく見えるデザインに。円と直線で構成され、無駄がなく美しい設計の自社製キャリバーは、開発に3年かけたという。
その周りを、シャネル独自のベージュゴールド製八角形ケースが額縁のように飾る。絵画を愛でるかのように、その造形美を堪能したい。レディスが出自だが、男性にもぜひ推薦したい。
※本文中における素材の略称は以下のとおり。
SS=ステンレススチール、K18=18金