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人を雇い、チームで仕事をすることで得られる達成感がほしい

独立してから4年。今年9月にはいよいよ事務所を法人化しようとしている。念願の社長になるわけだが、今の気持ちはどうなのだろうか。
「人を使うのってキツいですね。いまアルバイトがふたりいるんですが、お互いの信頼関係を築くまで時間がかかるし、気疲れすることも多い。怒りたくなるときは、3秒我慢すれば怒りは収まるって何かで読んだので、グッと我慢します」。
チームのトップに立ってスタッフを雇えばその人の家族の分も責任が増える。気楽さで言えば、ひとりで自由に仕事をするほうがいいに決まっている。
それなのに、なぜ社長にこだわり続けるのだろうか。
「アイデアを出し合ったり、衝突したり、そうやって仲間とデザインを創っていく達成感がほしいんですよ。それはスタッフとして雇用して、一緒に働くことで初めて味わえる達成感で、ひとりでは得にくいものだと思う。責任のある仕事のほうが、大変だけど楽しいじゃないですか。だから社長になるという目標は変わりません」。
山田さんはブレない。迷わず、常に行動によって道を拓く。その姿は30代後半で人生に迷っている男たちにも大きな勇気を与えるに違いない。
ただし、目標に向かって最短距離を走ってきただけに、仕事以外にはあまり関心がないようだ。プライベートはどうなんですか? と聞くと、「仕事しかしてきてないから、全然」と苦笑いする。
「趣味と呼べるものはなく、物欲もない。仕事が一番の趣味です。それに『社長になる』って、起業して人を雇ったら終わりじゃない。会社を軌道に乗せて、それを維持することができてようやく『社長になった』と言えると思うんです。だから、まだまだ夢の途中です」。
パチンコ店でくすぶっていた時代はどこへやら、すっかり経営者の顔になっていた。
藤野ゆり(清談社)=取材・文


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