ここは絶対にオッサン世代が若者に共感してはならないところ
さて、では我々オッサン世代はどうすればよいのでしょうか。
我々の世代は、中間管理職などをやっている人が多いと思いますが、そんなときに、表題のようなことを若者から言われたら、なんと答えればよいのでしょうか。
日頃から「共感、共感」と思っている、若者をちゃんと理解しようと努めているような人ほど落とし穴にはまってしまいそうです。
「そうだよね。現場で起こっていることを、きちんと理解できているのか、オレも疑問に思うよ。今度、機会があれば、きちんと上申してみようと思う」などと、共感してしまってはいけません。
ここで言うべきことは、基本的にはNOです。
「そうかなぁ、オレはそうは思えないんだけどな。実際、経営陣は例えば●●みたいなことをしているわけだし。具体的にどんなことでそう思った?」という感じで、若者の「心理的現実」をちゃんと砕いてあげて、本当の現実に引き戻してあげなくてはなりません。
先にも述べたように「具体的に」と聞けば、それが単なる印象論、過度の一般化によるものだと気づくことは多いはずです。
上には対峙して、下には経営の責任を自分の責任として背負って語る
もちろん、これは経営者側について媚びろということではまったくありません。
本当にダメな経営者で、本当に現場のことを知らないのであれば、それはそれで対処しなければならないでしょう。
ただ、その場合でも、部下や後輩の若手社員に「だよね、うちの経営はアホだよね」などと言っては絶対にいけません。そう思うのであれば、別のところで経営者にきちんと提言したり議論したりすべきです。
これは倫理観などから言うのではなく、組織を運営していく際に、途中で指揮命令が曲がってしまう(幹部の意図通りに管理層が物事を伝達せずにメンバーが誤った行動を取る)のは避けなければならないため、経営者は幹部がダメだということをダシにメンバーを操る中間管理職をとても嫌うからです(私怨ではなく、組織論ゆえに、です)。
そのため、そういう人は出世できません。
上にも対峙して、下には経営の責任を自分の責任として背負って語るなんて、どれだけ中間層のオッサン世代はしんどいんだよと思われるでしょうが、その通りで、オッサン世代はつらいのです。
頑張って参りましょう……。
曽和利光=文
株式会社 人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)代表取締役社長
1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。