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個人の組織観は、「群盲、象をなでる」のことわざに似ている

例えば、経営陣についての評価。
本稿のタイトルのように、「うちの経営陣はまったく現場のことがわかっていない」と言う人がいたかと思えば、「うちの社長は現場主義で、日々我々が何をしているのか、個別具体的に把握している」という人がいたりします。
言葉は悪いですが、まさに「群盲、象をなでる」です(私は、ブラインド・サッカーのワークなど参加しており、目の見えない人が見える人よりも物事の本質を理解できない、などということはないのはもちろん承知しています)。
つまり、自分の視点から見える景色から全体を勝手に想像し、それが組織だと認識してしまうということです。
先のことわざで言えば、象の耳を触っている人は「象は平たい生き物」と言い、鼻を触っている人は「長い生き物」と言う。しかし、ご存知の通り、象はそのどちらでもなく、複合的な要素を持った集合体です。組織も同じです。
「経営陣は現場を理解していない」というのは、「経営陣は自分のことを理解していない」を過度に一般化させ、「現場で働く人全般をわかっていない」と言っていることがほとんどです。
その証拠に、「具体的な事例を挙げてもらえますか?」と続けて聞けば、よくて数個、たいていは1、2個しか事例は出ません。つまり、後の「現場わかってない感」は妄想なわけです。
 

経営者の判断は、どうやっても絶対に不満分子が出てしまう

しかも、経営陣というものは、当然ながら会社全体のことを考えて、物事を判断します。事業や部署の一部分だけを見て、そこに最適化した判断などすることはありません。
そうなれば、どんな判断を行っても、絶対に不満分子が出てきます。一番わかりやすいのは人事評価制度などで、配分する報酬原資は一定なのですから、誰かを高く評価して高い報酬を支払うためには、誰かを低く評価して報酬を下げなくてはなりません。
下げられた方は、どんな理由をフィードバックされたとしても、心底納得いくことは少ないでしょう。いろいろな研究でも実証済みですが、人は他者評価よりも、自己評価の方が随分高いのです。
また、全体最適は、ある一時点での会社全体での最適というだけではなく、未来の会社まで含めた最適を考える場合もあります。
今をある程度犠牲にして、素晴らしい未来を得るというのは悪い考えではありません。投資のないところに、リターンは無いのですから。
しかし、その場合、「今」の人は損をして、「未来」の人は得をするわけですから、「未来志向の判断」に不満を持つのが自然でしょう。つまり、「今」の全社員から総スカンを食らうことさえあるということです。


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