マウイ島には世界中から海に魅せられた人たちがいつも集っている。新しい遊びへの開拓精神旺盛なマウイの人々、その中核となるアスリート、インダストリーを支える人々にマウイの魅力を聞いてみた。
ボートビルダー
Sean Ordonez(ショーン・オルドネス)
ずっと“空を飛ぶサーフボード”を僕は夢見ていたんだ
11歳の頃からサーフボードのシェイプを始めたショーン・オルドネス。ウインドサーフィンを覚えると、風にも乗れて波にも乗れる究極のダウン・ザ・ラインスポーツに魅了され、ウインドサーフィンのボードビルディングに没頭していくことになる。
偶然にもそのときボードを作るために読んでいた本が、当時マウイでウインドサーフボードシェイパーの第一人者として認めたれていたエド・アングロのもので、その後ショーン自身がマウイに移り住みインダストリーの中心になるとは彼も思ってもいなかっただろう。
18歳になりフロリダに移ると、エポキシでのサーフボード製造を既に始めていたリッキー・キャロルの下でボードビルドの基礎を学び、その後リッキーに背中を押されマウイに移住し最も優れたシェイパーとして認められるまでに、さほどの時間はかからなかった。
ボードビルディングのスターダムに上り詰めたショーンはインダストリーの衰退とともにシェイパーとしての道が閉ざされたかのように思えたが、ウインドサーフィンで得た技術をカイトサーフィン、SUPボードへ転換することで生き残ることができたのだ。
50km/h近い速度でプレーニングするウインドサーフィンのデザインをビッグウェーブサーフボードへと転換することでガンボードに革命をもたらし、そのボードは世界中のビッグウェーバーから絶大な支持を得ている。
「マウイは常に最先端。誰かが新しい遊びを開発し、才能溢れるウォーターマンがその限界を押し上げる。ほかの場所はひとつのことは楽しむことができるけど、風と波が美しいハーモニーで共存しているマウイは本当に素晴らしいよ。僕の永遠の夢は空を飛ぶサーフボードを作ること、ハイドロフォイルの出現で未来がもうすぐそこまできている、最高にエキサイティングだよね」。
彼の夢は、マウイでは尽きることがないだろう。
Thomas Servais=写真 岡崎友子=コーディネイト 阿出川 潤=編集・文