「不動産の噂の真相」を最初から読む不動産の噂の真相 最終回
オーシャンズ世代にとって“避けては通れない未来”のひとつに、「住まいをどうするのか」というテーマがある。結婚し、子供が生まれ、やがて巣立っていく――そんな人生の物語をつむぐ舞台=住まいについて、実は私たちはそこまで深い知識を持っていない。なんとなく周りの意見やメディアの見出しやウワサ話に踊らされてはいないだろうか。この連載では、元SUUMO新築マンション編集長が、世の中に出回っている“不動産のウワサ”について徹底検証。信じるも信じないも、あなた次第です。
空前の低金利であっても、数千万円単位の借金には「恐怖」を覚える
昨今、アメリカでは好景気が続いていることを受けて、長く続いた金融緩和の引き締めに転じ、年に3~4度の利上げが予想されている。日本でも金融緩和政策の出口論を語る向きはあるが、肝心の景気が完全に回復しているとはいえないのが現実で、相変わらず超低金利が続いている。
日本の金利水準は、日銀の政策もあって今がまさに「底」といえ、必然的に住宅ローンも史上最も有利な条件で借りられる状況が続いている。20年以上前に住宅ローンを金利4%で借りたことがある筆者からすれば、相対的に金利が高めの固定型でも1%台前半、変動型なら0.5%を切るローンも選べる現在は、正直うらやましくて仕方がない。住宅を買う気がない人はともかく、持ち家志向がある人にとっては、今は歴史的に見ても「お借り得」な時代といって差し支えないだろう。
だが、いかに低金利であっても住宅ローンを借りることに「恐怖」や「嫌悪」を覚える人は常に存在する。筆者は仕事柄、住宅購入の相談を受けることが多々あるのだが、数千万円単位のお金の借りることに怯(ひる)む人は少なくない。そして、そうした人の心理には、借りる金額の大きさへの不安もさることながら、「住宅ローン=借金=悪」という図式が強く刷り込まれていると感じる場合が多い。
もちろん「悪」といっても、借金が犯罪ではないことはわかりきったことだ。しかし、例えば「友人間で金の貸し借りはするな」的な教訓を聞いたことがあると、借金は道徳的に悪いことと認識しがちである。一般に道徳的な教訓は、それが正しいからこそ教訓として語り継がれているわけだが、少なくとも「借金=悪」の認識については、住宅ローンにまで当てはめてしまうと、かえって人生を損してしまいかねない。
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