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家事・育児のかたわら、往復12時間かけて大学院へ

1年間の育休を終えた鈴木さんに、もうひとつ転機が訪れる。職場復帰したとはいえ、長男はまだ幼く、妻の仕事も忙しい。どう考えても以前のような働き方はできない。そこで、選択肢に浮上したのが転職だ。
「当時は30代になったばかりでした。育児を最優先に考えて、もっと柔軟な働き方ができないかなと思ったとき、自身の経験を活かしつつ社会に貢献できるNPOに意識が向き始めたんですね。それで考えた結果、時間や働き方への理解もあった環境系のNPOを見つけて働くことにしました」。
鈴木さんはそうしたNPOでの経験を活かし、東京に戻ってから自ら立ち上げた「NPO法人グリーンパパプロジェクト」で、現在は副代表理事を務めている。ワークライフバランスを整えるだけではなく、育休中の経験を元に、「主夫としてはもちろんのこと、父親の多様な生き方を広める」活動をスタートさせたのだ。
育休中には育児サロンに、保育園時代には保護者会にも積極的に参加し、その結果保育園の父母の会では会長も務めた。父母のつながりを意識した背景には、育休中に感じた孤独がある。
さらに「自分にしかできない経験と根拠に基づいた発信をしてみたい」と考え、思い切って大学院での学び直しも始めた。取り組んだのはパタニティ(これからの新しい父性)の研究だ。
「名古屋の大学院の修士課程だったのですが、仕事と主夫としての家事・育児があったので、卒業するのに4年もかかってしまいました。しかも、途中で妻の仕事の関係で東京に戻ることになったので、学び直しの後半は高速バスで片道6時間かけて大学院に通っていましたね」。


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