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いつか我が子を導くために

夫婦でコーチングを行うのは、「訓練」の意味合いもある。子供が成長し、そのスキルが本当に必要になったときを見据えての予行演習でもあるようだ。
聡さん「コーチングってとにかく数をこなすことが大事で、やればやるほどさまざまな事例に対する知見・経験が得られる。だから、まずは夫婦でトレーニングを積み重ねていこうと。スキルアップにもなるし、互いの問題も解決できて一石二鳥ですからね」。
また、コーチングを受ける側の聡さんにとって、改めてコミュニケーションについて学ぶいい機会になっているという。
聡さん「私自身はコーチングを学んだわけではありませんが、毎月やっているので何となくやり方は掴めてきました。これから子供が思春期を迎えるにつれ、コミュニケーションはどんどん難しくなっていくでしょう。そんなとき、本人の中から答えを導き出すコーチングを知っておくと、大きな武器になるはず。特に、子供と接する時間の少ない父親にとってはいい手法なんじゃないかな」。
実際に目の前で実践してもらった。コーチングの際は互いを「さん」づけで呼ぶなど、夫婦ではなくコーチとクライアントの関係を徹底している。
しっかりコミュニケーションがとれている夫婦でも、相手の内面を深く理解できているとは限らない。コーチングという言葉にはビジネスライクな響きもあるが、むしろ二ノ宮夫婦にとっては互いの心を開放し、深く分かり合うためのアプローチになっているのだ。
麻莉子さん「子育ては一大プロジェクト。チームのメンバーが同じ方向を見ていないと最大限の力は発揮できません。夫が今どこを見て何を目指しているか、自分はどうなのか、常にシェアして矢印の向きを合わせることが大事なんじゃないかと思っています」。
榎並紀行(やじろべえ)=取材・文
 


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