スーツは働く男の戦闘服。ゆえに普通なら、特別な日でもない限りはオフの日に袖を通すなんてナシなんじゃ? でも、着こなしによっては選択肢のひとつとしてアリなんだってことを、種さんの着こなしから気づくはず。
「種カジのタネあかし」を最初から読む「僕の中でスーツは定番ですから」と語る種さん。これまで本誌でも、何度かその姿をお見かけしてきたから別段驚きはしないが、それにしても言い過ぎじゃ……と思いきや実はこれ、スーツといってもカジュアルセットアップ。
スーツと聞くと変にかしこまってしまうが、確かに、カジュアルセットアップなら本誌でも毎号のように登場し、街でもよく見かけるアイテム。ただ、種さんが袖を通したこちらは作りが立体的で、全体的にエレガント。そのワケは素材と作りにある。
「こちらは、スーパー100’sという細番手のウール地を使い、淡いグレーながら繊維の光沢がキレイ。そして、国内工場で仕立てた構築的な作りは、うっすらと芯地も入っていてきちんとした見た目が手に入ります」と種さん。
ただし、インナーをシャツにしないのが鉄則。カジュアル前提ならば、シャツをインすると急にバランスが難しくなるため、着こなしでもラクするべく断然クルーネックだという。
また、「ピンクは枯れてきたオッサンの血色をよく見せてくれるので、外側がシブさを引き立てるグレーでも、全体をくすませない効果があるんですよ」とも。
なるほど、“グレピン”は魔法の配色ってことですね。アイテム選びと気の利いた配色を駆使すれば、何でもない日でもスーツスタイルは大いにあり。いやはや、お見それしました。
ルールを守りつつも遊ぶところは遊ぶべし
「クラシックの流儀は割と大事にしたいほう」と種さん。なので、インナーに合わせてシルクチーフもしっかりとインしている。とはいえ、広げるとなんとレパード柄。こんな意外性のある遊び心もまた、カジュアルなスーツの着こなしには欠かせない。
スーツのハズシはワケありスニーカーで
ワケありなグレーのスエードスリッポンをスーツのハズシに。こちら、「2000年代初頭のハイブランドの名作にオマージュを捧げたデザイン」とか。これがわかったら、きっとあなたは相当な洒落者!
美しい生地感や構築的なフォルム。さらに、ダブルブレストでツータックという大人の貫禄を高めてくれるディテールも備えたクラシカルなスーツはビジネスシーン以外でも大いに役立つ。しかも“グレピン”の魔法の配色を意識すればもう完璧。カジュアルなスーチングは我々オーシャンズ世代にとって頼もしいことこのうえなし!
PROFILE
たねいちあきら●1972年生まれの45歳、東京下町出身。長年勤め上げたビームスを退社し、現在はフリーランスとしてブランドのコンサルティングやプロダクトのディレクションなどを手掛ける。種カジのこぼれネタがポストされるインスタグラム(@taneichiakira)もチェックして!
山本 大=写真