2018年1月にジュネーブで開催されたSIHH(国際高級時計見本市)。発表された数多の新作から、今季の傾向や注目すべきポイントが見えてきた。そこで、キーワードをもとにオススメのアイテムを7回にわたり紹介。今回は、機械仕掛けの面白さを再認識させてくれる、複雑機構や高性能ムーブメントを搭載した秀作。
見えない磁力に支えられて精緻なタービンセコンドが秒を刻み続ける
CVSTOS
クストス/チャレンジ ジェットライナーII P-S オートマティック
デザインのアクセントになる大型スモールセコンドの羽根車は、ジェット機のタービンをイメージ。センターセコンドとは違い、秒針の押さえが必要になるが、これを通常のバネ板ではなく磁力で圧着する点がユニークだ。機能的にも理にかなっており、摩耗せず、パワーロスもない。
初の自社開発ムーブメントを搭載した等身大のモダンウォッチ
BAUME & MERCIER
ボーム&メルシエ/クリフトン ボーマティック
日常におけるユーティリティ性を求めた、ブランド初の自社開発ムーブメント、ボーマティックを搭載。120時間のロングパワーリザーブ、シリコン製ヒゲゼンマイの採用による1500ガウスの耐磁性に加え、クロノメーター取得の精度を併せ持つ。ミニマルなデザインも愛着を持って使い続けられる理由に。
原点に回帰し、ブランドを象徴するトノウシェイプをアップデート
PARMIGIANI FLEURIER
パルミジャーニ・フルリエ/カルパ エブドマデール
アイコニックなトノウコレクションをアップデート。1998年にミシェル・パルミジャーニが腕時計用に初設計したキャリバーPF110を一貫製造し、搭載した。
ケースに合わせたシェイプにツインバレルを積んで実現した8日間のロングパワーリザーブは、今日においてもなお優秀。
液体との融合が機械式時計の新たな可能性を示す
HYT
HYT/H2.0 グリーン
通常の運針のほか、ムーブメントからの動力が6時位置にV字に設けたふいご状のタンクに伝わり、そこに貯めたグリーンの液体がガラス管内を満たし、時針代わりに時を表示する。ドーム状にケースを覆うサファイアクリスタルで、側面からも視覚的に楽しめる。世界限定25本。
独創技術の象徴をモチーフにしたスケルトンダイヤル
GIRARD-PERREGAUX
ジラール・ペルゴ/クラシックブリッジ 40㎜
ブランドのシンボリックモデル「スリー・ゴールド ブリッジ」のデザインをモチーフに、上部の左右にはマイクロローターと香箱、下部にはバランスホイールを備える。スケルトンダイヤルから覗く独創技術、見事な配置が生む造形美が、ブランドのアイデンティティを語る。
技術者の衰えぬ情熱や優れた技術の粋が詰まった1本。そこには、ある種のロマンすら感じる。時代は変わろうとも常に我々を惹きつけてやまない理由はそこにあるのだ。