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ほめたり、認めたりすることには離職の抑制以外にもさまざまな効果がある。
私がこれまで行った研究では、モチベーションや挑戦意欲、組織に対する貢献意欲、一体感、評価に対する信頼感、評価・処遇に対する満足感などを高めること、それに仕事の成果を向上させる効果があることも明らかになっている。

「ほめすぎリスク」にも留意しよう

しかし、一方では弊害もあることを理解しておく必要がある。
例えば新人の職場にたまたま社長がやってきて、「君、よくがんばっているね。期待しているからな」と声をかける。すると声をかけられた新人は、それを過剰に受け止め、期待に応えなければならないという一心で、休暇も取らずに毎日遅くまでがんばる。それが続くと、いつか無理がたたってメンタルに支障をきたしたり、辞めていったりするケースがある。
とくに純粋でまじめなタイプの若者には、このような「ほめすぎのリスク」があることも知っておかなければならない。
このような弊害を防ぐためにも、「何がよいか」「どれだけ優れているか」を具体的に示しながらほめるのが望ましい。
承認が必要なのは新入社員だけではない。新人が入ってきたのを契機に、上手にほめたり認めたりする習慣を身に付けたいものである。
太田 肇 : 同志社大学教授
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記事提供:東洋経済ONLINE

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