都心部の交通事情を考えると移動はバイクが最適。もし選びに迷ったら、ひとつファッションシーンのトレンドにあやかってみるのも一興だ。例えばリバイバルブーム。’90年代ファッションが改めて見直されているその流れに乗り、往年の名車を想起させる一台に目を向けてみよう。これが思いの外、新鮮に映ったりするんだ。
’60年代の格好良さを伝える「スズキ」のSV650X ABS”。うん、今もいい
ロックミュージック、デニムスタイル、ヒッピー。’60年代カルチャーの格好良さってつまり、反骨精神なんだろうな。物言う人が少なくなったと思える今このときだって、事あらばちゃんと声を上げる──そんなマインドを感じさせる一台が「スズキ」の“SV650X ABS”だ(78万1920円)。
645cc Vツインを搭載する“SV650”をベースに、外観をカフェレーサー化。「カフェレーサー」とはかつて’60年代のロンドンで、カフェに集まり公道レースをしていたロッカーズたちのこと。ロケットカウルにロールシート、セパレートハンドルというレトロさが泣ける。コスプレ的と言うなかれ。反骨精神こそ今の時代に足りないものだと思うよ。
’80年代顔&体型のこいつなら旅先で乗るのにチョー便利!
かつて1980年代、「ホンダ」の小型車“シティ”の荷台に積めるのがウリの“モトコンポ”という原付バイクがあった。感じは似てるけど、こちらはシンガポールのメーカー、「ヴァンダ エレクトリックス」の“モトチンプ”。
全長110.2×全幅65.5×全高115.3cmで、重量は約50kg(ちと重め)。オモチャっぽいが、原付1種としてナンバープレートの取得が可能。家庭用コンセントの1時間充電で60kmまで移動できるから、旅先での行動範囲が広がるというわけ。宿にクルマを停めて神社仏閣を訪ねるもよし、釣りのポイント開拓に勤しむもよし。「バイクを携帯する」という感覚、新しいような懐かしいような。
懐かしくて見入った人だっているだろう。こうして改めて見ると、レトロな表情なんてまたグッとくるじゃないの! 周りとも差をつけられそうだしね。
中村利和(BOIL)=写真 松田有記=スタイリング