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私が、担当する法人クライアントへの業務をこなすだけでいっぱいいっぱいのときでも、伊東さんは担当業務だけでなく複数の調査や分析を引き受けて、質の高いアウトプットを次々と出しているのです。そうかといって遅くまで仕事をしているわけではなく、適当な時間に涼しい顔をしてさっさと帰っていきます。そこである日、伊東さんに頼み込んで、とっておきの仕事の仕方を伝授してもらいました。
「櫻田さんね、新しい仕事が来たら、どんなに忙しくても、とりあえずちょっとだけやってみることが大事なんですよ。ちょっとだけやってから横に置くんです」
「ちょっとだけやってみる」となぜ高速で仕事をまわすことができるのか? 伊東さんから聞いた理由を4つにまとめてみます。

「ちょっとだけやってみる」ことの4つの効果

①難易度が把握できる
まず、「ちょっとだけやってみる」ことで、その仕事の難易度がわかります。手こずりそうであれば、ほかの仕事とのスケジュール調整を行い、早めに時間を確保しておく必要があります。
しかし、まったく手をつけずに横に置いてしまうと、いざ取り掛かったときに、「思った以上に時間がかかりそう。締切りに間に合わない」、こんな状態に陥ってしまいかねません。
②内容を正確に理解できる
次に、「ちょっとだけやってみる」ことで、仕事の内容を正確に理解しているかどうかがわかります。もし、あやふやな理解だったり疑問が出てきたりしたら、即座に依頼者に確認して解消しておくことができます。
そうせずに、手をつけてはじめて、「あれ、これどうだっけ?」と理解不足に気づいても、依頼者が出張中や休暇中だった場合、連絡がとれるまで待たされたり、疑問を抱えたまま進めてあとから手直しを行わなければならないなど、無駄な時間を費やすことになります。
③裏で準備を進めることができる
第3に、「ちょっとだけやってみる」ことで、裏で必要な準備を進めることができます。たとえば、必要な情報やデータが手元にないことがわかったら、それを持っていそうな人にメールで依頼しておくと、仕事に取り掛かるころには届いている。これで、自分がその仕事に本格的に手をつけるまでの時間を無駄にせずに済みます。
また、関係者との打ち合わせが必要だと思ったときには、その時点で早めにアポを入れておけば、間際になって時間調整でドタバタしなくて済むでしょう。
④情報への受信感度が高まる
第4に、「ちょっとだけやってみる」ことで、必要な情報に対する受信感度が高まります。少しでも手をつけてみると、仕事の内容に興味が湧き、それ以降、関連したニュースや情報に対して脳のセンサーが反応するようになります。本格的に取り掛かるころには、アタマがその分野になじんでいるため、新規の情報を受け入れやすくなっているのです。


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