腕時計には時代を超えた名作がたくさんある。それぞれが個性的で、すべて魅力的。だから、どの一本を相棒に選ぶかは、すごく迷うものである。なぜなら腕時計は男にとって“名刺代わり”だから。
そんな迷いを振り払い、理想の1本を手に入れるためのガイドとして、前・後編の2回に分けて計9人の名作時計の愛用者たちにインタビュー。
「なぜ愛用してる?」「どこが好き?」「いつ買った?」。
さぁ、楽しもう! 運命の時計との素敵な出会いを!
名作腕時計①
カルティエの「タンク MC」
「夫婦で着け続けられる一生モンの腕時計だと思います」舘 泰史(37歳・弁護士)
「手に入れたのは約4年前。ちょうど勤めていた事務所から独立するタイミングで、その記念として“ちゃんとした腕時計”が欲しいと思っていたんです」と、運命の1本と出会った当時を振り返る舘さん。
2017年に誕生100周年を迎えたカルティエの「タンク」。アールデコ様式を取り入れたそのデザインは角型ケースにおけるマスターピースといわれる存在。まさに舘さんが言う“ちゃんとした腕時計”には打ってつけの銘品だ。
「腕時計探しのためいろんな雑誌を見ていたら、たまたまカルティエのタンクを見かけて、ビビビッ!と来たんです。それで妻と一緒にショップに行って、2人揃ってタンクを買いました」。
これまで多くのモデルが登場してきたタンクだが、なかでも2013年に登場した「タンク MC」はエレガントなデザインにして44×33mmの迫力あるケースサイズが特徴、これが男性ユーザーの心を掴んでいるのだ。
「事務所と一緒で、タンクを夫婦ともども、末永く使っていきたいですね」。
街角で見つけたカルティエ傑作選 名作腕時計②
パネライの「ルミノール マリーナ」
「8年の片思いの末に、やっと手に入れました」
八木秀介さん(35歳・営業)
「出会いは27歳くらいのときですかね。それからずっと憧れの存在だったんですが、もちろんすぐに手に入れられるわけもなく……8年ぐらい片思いして最近ついに!」と語る八木さん。
イタリア生まれのパネライ。その歴史は古く、はじまりは1860年にまで遡る。イタリア海軍への正式コントラクターとして、数々の傑作ダイバーズウォッチを生み出してきた名門だ。
「なんとか35歳までには購入したい! と心に決めていた」ところに、「うれしいボーナスが出たので(笑)」購入を決意したという。
八木さんが愛用する「ルミノール マリーナ」は、大きめな44mm径のケースやリュウズプロテクターに象徴される存在感が特徴。しかしデザインは実にシンプル。武骨さと洗練さを兼ね備えた「ルミノール マリーナ」は、幅広い年齢で支持されている。
「もちろんデザインや着け心地も気に入ってますが、仕事のときに会話のきっかけにもなるし、ある意味“自己投資”だとも思っています。いずれ子供が大きくなったら譲ってあげて、そのときにまた新しい運命の時計を手に入れたいなと、今から画策しています」。
名作腕時計③
タグ・ホイヤーの「カレラ」
「男が使うプロダクトはタフであってほしいから」
貝塚拓也さん(30歳・ 医療機器営業)
元ラグビー部の貝塚さんは、「学生時代からラグビーに没頭していたからか、やっぱりプロダクトにもタフな機能やデザインに魅力を感じてしまいます。実はこのカレラも、ずっと仲が良いラグビー部の仲間3人で一緒に買ったんですよ(笑)」と語る。
1860年に創業して以来、高い技術力によってスポーツウォッチの歴史を数々塗り替えてきたタグ・ホイヤーが生み出したカレラ。
1950年代に始まったロードレース「カレラ・パンアメリカーナ・メキシコ」にインスパイアされ、1963年に発表された同シリーズ。ロードレースに必要な高精度のクロノグラフやタキメーターなどの機能を有し、過酷なレースの環境に耐え得る堅牢さは多くのトップドライバーたちに重宝された。
貝塚さんが愛用するのは「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー 1887 クロノグラフ」。43mm径のケースには、秒針やプッシュボタンにレッドを配したスポーティなカラーリングが施され、実に男心をくすぐる1本だ。
名作腕時計④
IWCの「マークXVI」
「使い勝手を求めて行き着いた“シンプル”という美学」
上田裕也さん(35歳・会社員)
以前は厚みがあって大きいサイズのドレスウォッチを使っていたという上田さん。「気に入ってはいたんですが、服にも引っかかるし、上着を脱いだり着替えるたびに気になってました。なので、もっと薄くて服に引っかからないけど、フォーマルにも使えるものにしたかった」と語る。
それで前から知っていたIWCか、ロレックスのエクスプローラーか迷ったという上田さんは、よりミニマルなデザインのIWCの「マークXVI」に決めた。
“ミリタリーウォッチ好きならいつかは手に入れたい1本”といわれている「マークXI」。耐磁性を備えた2重ケースをはじめ、イギリス空軍パイロット用に開発されたモデルらしい強靭な構造を備えながら、無駄のないシンプルな3針スタイルで合わせる服装を選ばない。ミリタリーが出自ながらも、フォーマルウェアにも馴染む1本として知られている。
そんな名作の面影を強く残す「マークXVI」は、手頃なサイズ感も魅力。39mmのケース径は、華奢な日本人の腕にもフィットしやすいのだ。
「ベルトは元々レザーだったのをナイロンベルトに変えました。メンテナンスもラクで、表情もよりカジュアルになって、普段使いに重宝しています」。
「6歳と9歳の子供が20歳になったら、あげてもいいかな」と言う上田さん。こんなシンプルな1本なら、きっと子供たちも重宝するに違いない。
街角で見つけたIWC傑作選
後編では、オメガ、エルメス、セイコーなどなどを愛用するオッサンたちの「買ったワケ」を紹介。運命の出会いを見逃すな!