男にとって腕時計は、アクセサリーでもある。だから知っておきたい、好みのスタイルのスパイスになる腕時計選び。それが、いつものコーディネイトをアップデートさせる小さな一歩にもなるのだ。
街角で見つけた腕時計選びの成功者たちから、オーシャンズ世代に親しみの深い3つのスタイルに効く、腕時計選びの条件を紐解いていこう。
条件1:トラッドなムードを引き立てる“オトコのリボン”
適度に上品、適度にカジュアル。このバランスを保ってくれる「トラッド」は多くのオッサンの好物スタイルである。ただ、落ち着いた柄や定番色を使った装いはともすれば“オッサン臭さ”の温床にも。それを少しだけポップに解消してくれるのが、腕元にチラリと若々しさをプラスする“リボンベルト”である。
岡本美津義さん(59歳)ブラックウォッチのアウターは、なんと40年前のビギのもの。その歴史的名作を今っぽく着こなすコーデ術もさることながら、手元に覗くトリコロールカラーのリボンベルトが味付けにひと役買っている。
シンプルな3針のタイメックス。小さくても、絶大な効果を生む時計使いだ。
林 哲也さん(44歳)モノトーンでキメた林さんがこの日着けていたのは、落ち着いた黒×オリーブのリボンベルトを装備したハミルトンの傑作ミリタリーウォッチ。
オックスフォードのBDシャツやグレーパンツ、Uチップのレザーシューズといったトラッドなワードローブとの相性は抜群。カッチりしすぎず、ヌケすぎずなバランス感がいい。
条件2:ダークなモードに映える“カジュアルゴールド”
黒、ネイビー、グレーをベースカラーにしたモードっぽさを感じさせるスタイル。そこに、主張はするけど悪目立ちしない1本を迎えるならばゴールドが正解だ。しかも、ある意味チープシックとも言えるカジュアルなゴールド。これなら、休日に気張る必要もなくなるしね。
しだれかずゆきさん(29歳)オールネイビーでまとめたコーディネイトに挿したのはゴールドとシルバーのエバーバンド仕様のスウォッチ。
ケースだけネイビーというモデルをチョイスすることで全体のカラーバランスを取っている。
内山紀彦さん(45歳)ダイヤルにゴールドを採用したいわゆる“チープカシオ”を、グレー×ネイビーのダークトーンの定番色スタイルに合わせた。
内山さんの選んだMQ-38シリーズは、約19gという軽量で&生活防水ながら、オン・オフ両用できるシックな顔付き。スタイルや目的に合わせてしっかり物選びができる大人って、素敵ですね。
川路導己さん(39歳)コアなファンの支持を集め続ける傑作データバンクも、大人のダークトーンな装いを飾る相棒に打ってつけ。使い込まれたこの味わいもまた魅力なり。
ポイント3:個性的なスタイルに負けない“個性派デザイン”
不惑の年齢になってくると、仕事でもプライベートでも、自分なりの個性を持つことも大切なポイント。ファッションもしかりで、自分の好きな色、柄、デザインなど、築き上げてきた個性を主張する人たちの腕には、やはり服装に負けないぐらいに個性派の腕時計が必要だ。
岸本達也さん(42歳)、加奈子さん、みなもちゃん(1歳)色使いやアイテム選びに抜群な個性が滲む岸本さんファミリー。そのタイムキーパーは「リップ」のマッハ2000だ。フランスのプロダクトデザインの第一人者であり、鉄道デザインも手掛けたロジェ・タロン氏によるデザインは、左右非対称のケースに赤い球状のリューズをあしらった斬新なもの。
見た目だけでなく、人間工学に基づいた着けやすさや見やすさを備えたデザインは、小さくても十分“名刺代わり”になってくれる。
佐藤 一さん(38歳)言わずもがなんの傑作「エルメス」のケープコッドに強い個性を加えるのが、ドゥブルトゥールと呼ばれる2重巻きのレザーバンド。上質で使うほどに味の出るレザーは、ブレスレットのようにファッションピースとしての役割も果たし、どのような服装でもしっかりと主張をしてくれる。