「不動産の噂の真相」を最初から読む不動産の噂の真相Vol.13
オーシャンズ世代にとって“避けては通れない未来”のひとつに、「住まいをどうするのか」というテーマがある。結婚し、子どもが生まれ、やがて巣立っていく――そんな人生の物語をつむぐ舞台=住まいについて、実は私たちはそこまで深い知識を持っていない。なんとなく周りの意見やメディアの見出しやウワサ話に踊らされてはいないだろうか。この連載では、元SUUMO新築マンション編集長が、世の中に出回っている“不動産のウワサ”について徹底検証。信じるも信じないも、あなた次第です。
「中古マンションを自分好みにリノベーション」は、住まい選びの新しい選択肢
昨今、ネット界隈ではネトウヨと呼ばれる人たちとパヨクと呼ばれる人たちが、互いに対立する書き込みに溢れているが、そもそも言葉の意味するところから言えば、右派(右翼)は保守で左派(左翼)は革新とされる。政治的な意味合いは抜きにして、この右派と左派の構図を住宅にあてはめてみると、根強い新築信仰がある日本では、新築が保守=右派となり、新しい住まいの選択として広がりをみせてきた中古リノベーション(以下リノベ)が革新=左派と言えるのではないか。そしてこの言い換えは、思いのほか「ハマって」いると筆者は感じている。
たとえば新築は、現代の一般的なライフスタイルをマーケティングして造られるため、「万人受け」する間取りや設備仕様になることが多い。したがってサプライズは少ないが、どんな物件を選んでも一定水準以上の品質を確実に得られるし、「万人受け」する商品であることが将来の売りやすさにもつながるメリットがある。検討プロセスにおいても、新築はモデルルームやモデルハウスを見学して、カタログから商品を選ぶように購入できてラクちんである。
つまり、自分の理想にドンピシャではなくても、及第点の家を手に入れられる可能性が高いことや、将来に保険をかけるような側面があること、既存の仕組みに乗っかって検討を進められることなどが、新築が保守的な選択と言える点だ。
一方の中古リノベは、既存の建物の中身をイチから描きなおす住まいだ。建物の骨格だけ活かして後はすべて刷新してもいいし、部分的に作り替えてもいい。なかにはリノベ済みで販売されている物件もあるが、それ以外なら、デザインや設備も自分の好みにできる。どこまでやるかも、どのようにするかも、すべて自分次第だ。
つまり、新築を建てるか、買うか、中古を買うか、という旧来の3択に対し、中古の建物を活かしつつ中身は新しくかつオリジナルにできるリノベは、まさに住まい選びの“革新”であると言えよう。
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