永遠の定番だったり、ヒット作だったり。ブランドにはそれぞれ顔と呼ばれる“らしい”アイテムがある。
そのイメージも大切にしつつ、違うフィールドのアイテムを作る心意気にこそ、ブランドの懐の深さが感じられるのではないか。そんな2作をご紹介したい。
「モンクレール」の革ジャン、ポンチョ
モンクレールといえば、フランスの規格協会が認めた“キャトルフロコン”と呼ばれるダウンを使用する品質の高さと、ランウェイでのコレクションが放つハイセンスの両輪が人気を牽引している。そんなブランドの最新はというと……革ジャンとポンチョ?
一見、らしくはないかもしれない。しかし、シングルライダーズは特有のもっちり感と光沢が上質さを物語る薄いレザーで、軽快に羽織れる。ポップなチェック柄のポンチョは、デニム地のポケットにパッキングできて気軽に持ち運べる。両者をつぶさに見れば、そもそものダウンを含め、このブランドの真髄である“軽さ”をしっかり味わえる。
「ペンドルトン フォー RHC」のブランケット
本当にペンドルトン? と目を疑いそうになる無地のウールブランケット。アメリカらしさのスパイスとして不可欠なネイティブ柄をあえて使わなかった、RHC ロンハーマンとのコラボだ。
でも、確かに無地、いいじゃん。アイボリーとネイビーのシンプルな2色は、僕らのライフスタイルに間違いなく馴染む。毛織物工場に端を発するペンドルトンの、肉厚でドライなあの感触こそが好きという人には、試す価値が大アリなのだ。“あえて”無地にした結果、強調される素材の“らしさ”。削ぎ落として引き立つシンプルの境地をご堪能あれ。
“らしい”のも親しみがあって扱いやすいからいいけれど、こんな予想外のアイテムにこそ、ブランドの心意気が感じられはしまいか。歳を重ねても、まだまだ挑戦心を失いたくない大人たちに、ぜひ!
鈴木泰之=写真 鈴木淳子=スタイリング