ちょっと頭を使えば、様々なタイプのボタンやスイッチが操作できる!
続いて、ちょっとだけ難易度が高い設置例を紹介しよう。
こちらは、我が家の階段の照明のスイッチ。ひとつのボタンの左右を押しわけることでオンオフを切り替えるタイプ(スイッチ)になっている。先ほどのオートロックの場合は、ボタンを真っ直ぐに押せば良かったわけだが、こうしたタイプのスイッチは、どのように制御すればよいのだろう? その答えは驚くほど簡単(というか強引)だ。
このようにMicrobot Pushの“指”と、操作したいスイッチの両方に付属のマジックテープを貼り、通常は「押す」と「引く」を連続で行うように指定されている“指”の動作を、「押す」と「引く」が別々に操作できるよう指定すればよいのである。
なお、今回は運よく1個口のスイッチだったが、2個口、3個口のスイッチを制御するためには、Microbot Pushを貼り付ける場所が、かなり難しくなる。我が家のようなクロス壁紙の場合は、両面テープだけではしっかりと固定できないかもしれないし、そもそも壁紙を傷つけるような細工をしたくない場合も多いだろう。このあたりは、Microbot Push導入にあたって、よく検討すべきポイントとなるはずだ。
約6000円の価値は、使う人の創造力によって大きく変化しそう
「ボタンを押すだけ」というシンプルな機能にのみ注目すれば、約6000円というMicrobot Pushの価格は結構高価に思えるかもしれない。スマートスピーカー(Alexa)と連携させるためには、別売りの「プロタ S」というスマートハブ(実売価格:約1万円)が必要という点も、ちょっとひっかかるところだろう。
一方、そのシンプルさゆえに、Microbot Pushの使い道はアイデア次第でかなり広がる。
たとえば、これは電気ポットの制御例。重りを入れた空き缶にMicrobot Pushを貼り付け、電気ポットのスイッチの上に置いている。これだけで電気ポットを強引にスマート化してしまうのだ。Microbot Pushはタイマー機能にも対応しているので、毎朝決まった時間にお湯を沸かすといった活用も可能だ(水の入れ忘れに注意したいところ!)。
さらには、こんな利用法も……と、この写真を見ても意味がわからない人が大半だと思うが……。
これでお分かりいただけるだろうか? オートロックどころかデジタルな要素がひとつもない我が家のミニ・クーパーを、超強引にスマート化しているのだ(鍵を使わずドアのロック解除ができる自動車、未来っぽくて昔から憧れていたんですよねー)。まぁ実際のところ、パテか何かでよほどしっかりとMicrobot Push、そして“指”とロックのレバーを固定しないと上手に動作しないようだったので、完成は断念したのだが、車を傷めてもよいくらいの覚悟がある人なら、約6000円で旧車にオートロックをつけることだってできるはずである。
このように、アイデア次第で本当に様々な応用ができそうな「ボタンを押してくれる超小型指ロボット」Microbot Push。正直なところ、購入前はあまり期待していなかったのだが、実用はもちろん、遊べるガジェットとしての魅力が思いのほか大きかった。家電の便利化+小技の効いたオモチャという合わせ技で一本! を認められるなら、一度は試してほしい注目すべきガジェットではないだろうか。
文・石井押郎