“枯れ色”でもあるカーキは、なんとなく老けて見える気がして食わず嫌いしてきた人もいるだろう。でも、よく考えてほしい。我々はもう立派なオッサンだし、いくら若作りしても若者には戻れない。となれば、年相応のシブい色としてカーキを味方に付ける方法が知りたい。ベタベタなデザインでもなく、さりげなくデザインが利いていて、着た姿をジイサンに見せないカーキのワードローブBEST 9。その着こなしも最後に!
WHITE MOUNTAINEERING
ホワイトマウンテニアリング
軽さと暖かさを兼備したこのコートは、ジェンダーレスに対応するユーティリティプレイヤー。キルティングの裏地は、細番手の高級綿糸を使用したタイプライタークロスで、中綿にプリマロフトを使用したブランドのオリジナル。マスタードイエローのパイピングもピリッと効いている。
WILD THINGS
ワイルドシングス
ワイルドシングスのデナリジャケットは、’90年代に憧れたアイテムのひとつだった。そんな“デナリ”を連想させるハの字形のフロントポケットが目を引くこのコート。素材は、まるで天日干ししたかのような柔らかい風合いのナイロンを使い、中綿はS字キルティングで封入されたプリマフロフトで。色褪せた雰囲気は、若者より大人が似合う。
MAMMUT
マムート
ダウンは雨に弱いイメージがある。でも、機能を求めるアウトドアは日進月歩の世界。当然その弱点に目をつむるはずもない。スイス発のマムートのダウンコートは、表地は耐水圧2万㎜のドライテック プレミアムを使い、雨に強いフルシーム仕様。日本人の体型を考えた規格だから、海外製にありがちな嫌なデカさがない。
MINOTAUR
ミノトール
遠目では古着屋のレジ裏に飾ってありそうな、味のあるオイルドコットンのハンティングジャケット。でも近づいて見るとなんだか様子が違う。それもそのはず、このジャケットの素材は、防水&ストレッチの利いた3レイヤーで、ジッパーは完全防水の止水ジップ。世界のどこにもない東京ならではの“進化したクラシック”なのだ。
COLUMBIA BLACK LABEL
コロンビア ブラックレーベル
昨今では、多くのアウトドアブランドから発売されているインナーダウン。ただ、アクティブな都市生活者のためのライン、コロンビア ブラックレーベルのそれはほかと一線を画す。ご覧になれば一目瞭然、デザインが超個性的なのだ。ひょうたん形のキルティング、幅広の前立てと、インナーに着ても、声高に存在を主張できるポテンシャルを秘めている。
PATAGONIA
パタゴニア
’90年代初頭の“シンチラ・ブーム”で出会って以来、OC世代にとってパタゴニアは永遠の定番ブランドとなった。この「イスマス・ジャケット」も、“シンチラ”に次ぐ我々の味方となるだろう。耐久性撥水加工のナイロンに、軽量で暖かいインサレーションを組み合わせたもので、今着るなら、派手なカラーリングもいいけれど、そろそろこんな“渋パタ”にも挑戦してみたい。
ID DAILYWEAR
アイディー デイリーウェア
「普遍的かつ新しいデイリーウエアの提案」。そんなコンセプトのブランドが作るプルオーバーパーカは、キュートな大人を演出できる素材感が魅力。フェイクレイヤードデザインと中綿にプリマロフトゴールドを使用した仕様は、Tシャツの上に着るだけでばっちりキマるし暖かい、という都市生活者にうれしいやつでもあるのだ。
ARC’TERYX × BEAMS
アークテリクス×ビームス
以前から蜜月の関係にあるビームスとアークテリクス。今季は、軽量かつ街着としても映える「ベータSL」をミリタリーカラーで別注。グレー、カーキ、オリーブの単色のほかに、その3色を使ったモデルも展開。ビームス十八番のクレイジーパターンをシックなカラーリングで仕上げている。
SOUTH2 WEST8
サウス2 ウエスト8
シェルはキルティング、ライニングはフリースになった抜群の防寒性を誇るパンツ。フロントのワークパンツ風のポケットがいかにもこのブランドらしいおおらかな雰囲気を醸している。一見無地に見えるが、さりげなくカモフラージュ柄がプリントされているのもポイント。真冬に一度でもはいたら最後、必ず手放せなくなる。
全身アースカラーだと、オッサンがジイサンになってしまうから…… こちらのジャケット、’80年代に憧れのアイテムだったB-3と、’90年代に袖を通した人も多いであろうボアフリースを融合させたネイバーフッドの逸品。オリジナルに忠実な1ポケットやスタンドカラーでも着られる襟などディテールワークが秀逸! 同じくアースカラーのパンツ&スニーカーとの相性も抜群だ。
とはいえ、全身をアースカラーにすると、ともすればオッサンがジイサンになってしまうなんてことも。そこで、インナーに1点派手な色を。こんな“ハズし”技が成立するのも、年を重ねた今だからこそなのである。
トレンドに踊らされず、クラシックの良さを存分に知るオッサンだからこそ似合う色。“枯れ色”のカーキはその筆頭。“加齢色”なんて考えてはいけない。こいつは、シブい大人だからこそ似合う“華麗な色”なのである。
畑中清隆(UM)=写真(人物) 蜂谷哲実=写真(静物) 荒木大輔=スタイリング 宮本佳和(perle)=ヘアメイク