OCEANS

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チケットを購入して、いざテントへ。生まれて初めての茶席体験だ。正座も久しぶりで、なんだかシャンと背筋が伸びる感じ。あれ、でも隣の人はあぐらを組んでいる。亭主曰く「辛かったらあぐらでもいいですよ」とのこと。しかし、せっかくだからここは、正座で挑むことにしよう。
お菓子を欲しいぶんだけ取ってOK。お上品にいただくことに
まずは和菓子を頂く。今回は金平糖。最後に食べたのは思い出せないほど、昔のことだ。砂糖の塊といった印象があったのだが、これはめちゃめちゃ美味い。思わず「どこで買えますか?」と尋ねてしまう。なんでも、日本で唯一の金平糖専門店「緑寿庵清水」という京都のお店とのこと。知っている!! 漫画『美味しんぼ』で登場したことがあるお店だ。しかも、物語上、かなり重要な回に登場したのでしっかりと記憶に残っており、作中で紹介された金平糖の作り方や歴史まで覚えていた。思わず、金平糖トークで盛りあがってしまうが、これって茶席に合った話題なのか?
テントの入口に配置された書
金平糖トークが一段落したところ、亭主が隣に座っていたご婦人が身につけていた帯に触れる。「水辺だから水の模様をつけて、野点なので落ち葉をあしらいました」といった話をしているのを聞きつつ、漫画の話をしてしまった自分をちょっと恥じた。汚名返上とばかりに、飾ってあった色紙にしたためられた字の内容について尋ねてみる。「明珠在掌」。読み方は「めいじゅ、たなごころにあり」。禅の教えで「大事なものはすでに、あなたの手のなかにあるのですよ」といった意味らしい。うん、このやりとり、自分が想像する茶席っぽい。
お茶を出され、緊張の一瞬!
そうこうしているうちに、点てられたお茶が目の前に。これ、声をかけられてから手に取るんだっけ? なんか回して飲むんだっけ? などと考えていると、どうやらフリーズしていたらしい。亭主が「これは薄茶だから、リラックスして楽しんでもらっていいですよ」と助け船を出してくれた。ちょっと緊張がほぐれて、お茶を頂く。イメージよりも苦くなくて、むしろまろやかな印象だ。

素直に味の感想を述べると「茶筅(ちゃせん)で泡立てることによって、苦みや渋みの成分が吸着されます」と教えてくれる。あのシャカシャカ行為は、儀礼的な意味合いだけじゃなかったんだ……。
お茶を頂いて、茶席は終了。最初は少し緊張したが、非日常の空間でさまざまなことに気を配りながら、それでいてゆったりと流れる時間は悪くない。もちろん、正式な作法に則っていないからこそ、そんな気楽なことが言えるのだろうが……。亭主曰く「格式が高い濃茶の席などは、会話が一切無く、呼吸の音さえも愉しむといったことがあります」とのこと。いやー、それはまだ無理っす。
落ち着いた雰囲気を醸し出しつつ、文化的で知的でもある。これぞ大人の趣味じゃないか。とはいえ、今の年齢から茶道としての“道”を極めるのは大変。「茶ンピング」のように、気軽に愉しめるお茶を趣味にするため、これから、もう少し色々と調べてみよう。
取材・文/コージー林田
取材協力
アバンギャルド茶会
http://www.ava-cha.com/


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