オッサンの心に効く、カジュアル茶道Vol.1
日本の伝統文化のひとつ、茶道。長く細く続けられ、芸術への造詣も深められそうだし、オッサンの新しい趣味にぴったりだ。ただ、「結構なお点前で」なんてセリフしか知らないのが正直なところ。けれど身を固くしなくても、カジュアルに始められるのが今風なお茶のスタイルなのだとか。新しい扉、ならぬ襖を開いてみませんか?
小学生のときに通知表に書かれていた「少し落ち着きがないようです」という一言。三つ子の魂百までとはよくいったもので、不惑を迎えてもなお、泰然自若とはほど遠い毎日を送っている。「大人になった今、ちょっとはゆったりとした趣味でも始めて、落ち着きたいな」などと思っていたら、とっても面白いイベントを発見。それが「茶ンピング」だ。
「茶ンピングとは? どんなイベントか想像がつかない」。そんな人のために、まずは概要から。茶ンピングとは、茶会とキャンプを掛け合わせたイベント。ストレートにいけば「茶ンプ」になるといったツッコミもあろうが、実は元々茶会×グランピングというコンセプトだったらしい。しかし、開催場所が普通のテントだったため、これはグランピングじゃないのでは? ということで、茶会×キャンピングで「茶ンピング」としたのだとか。開催しているのは、先鋭的な茶会イベントを開催している団体「アバンギャルド茶会」だ。
ちなみに「茶会」を日本国語大辞典(小学館)で調べると「茶道で客を招いて、作法にのっとり、茶を立ててもてなす会合」とのこと。わびさびを感じられる茶室で、着物を着た大人が抹茶を飲みながら、「結構なお点前で」なんていっているイメージがあるアレだ。落ち着いた大人を目指す私にとって、「お茶」はうってつけの趣味になるかもしれない。しかも、茶ンピングなら、肩肘はらずに参加できそうだし、入門編としては最適のはず。ということで、さっそく参加してみることにした。
開催日は11月初旬、場所は多摩川河川敷の「兵庫島公園」だ。当日の早朝まで降り続いた雨も上がり、気持ち良い青空が広がっている。会場に足を運ぶと、複数のテントが設置されており、茶会というよりはちょっとしたキャンプ会場のようだ。アウトドアファッションに身を包んだ人もいれば、きちんと着物を着ている人もいる。なんともユニークな空間である。このテントを茶室に見立てて、お茶を点ててもらうらしい。
開催団体の名称が「アバンギャルド茶会」だけに、なんとも前衛的。と思ったら、代表の近藤 俊太郎さんが「お茶にはそもそも、野点という野外でお茶を点てる楽しみ方もあります。それに、古くは北野大茶会もありましたよね。茶ンピングもそういった考え方です」と教えてくれた。
北野大茶会とは、豊臣秀吉が京都の北野天満宮境内で開いた茶会。身分や茶道の心得、茶道具の有無などは全く関係なく、茶を楽しみたい人ならだれでも参加を許したという逸話が残っている。そう考えると、茶ンピングはある意味、現代の北野大茶会といったところだろうか。だったら、作法のさの字を知らない私でも安心だ。
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