「アメリカンカジュアル」の服は、やっぱり好きだ。さらに言うなら、「37.5歳からでも袖を通して様になる」「10代の頃の服をいまだに着ているように見えない」「“シャレた旦那さんですね”なんてたまに褒められる」。そういうやつだと、オーシャンズ世代はニンマリするはずだ。ならば、モードが提案するアメカジなやつはどうだ? 素晴らしいぞ。
HERMÈSエルメスクラシックスポーツウェアの代名詞、バーシティジャケットをエルメスが作ったら。なるほど、お家芸のハイエンドレザーにケーブルニットのコンビで……と思うのは早合点だ。ニット地に見えるボディはシープスキンの柔らかな毛を刈り込んで編み柄を表現したもので、袖は同素材を表裏反転。つまり、リブ以外すべてシープスキンで作られているのだ。すべてのライニングを省いた点に、素材と着用感の確固たる自信が見える。
GUCCIグッチ今、シーンを最も面白く、影響力を与えているのは、間違いなくアレッサンドロ・ミケーレがクリエイションするグッチだ。「スポーティ」「ストリート」「ヴィンテージ」「コンテンポラリー」「ウェアラブル」。そんなキーワードが並ぶ最新クルーズ・コレクションで見つけた、ウールメルトン地のランチコート風の1着に注目したい。分量感のあるシルエットに加え、襟のボアとレザーを巻いたくるみボタンなどのディテールでノスタルジックな気分を掻き立てつつ、ボディサイドに配したウェブストライプで最高にモダンな雰囲気になるパラドックスが面白さ。オーシャンズな男だったらデニムで合わせる? それとも?
DRIES VAN NOTENドリス ヴァン ノッテン武骨なアウトドア用のフィールドジャケットやネルシャツで使われるイメージが強い赤と黒のバッファローチェックを、とびきりエレガントなすね丈のバルマカーンコートで仕立てるアイデアの勝利。パリで圧倒的な表現力と手の込んだ服を提案し続け、今シーズンのメンズコレクションで99回目のショーとなる実力派ブランドのプレゼンスを示すに相応しいマスターピースは、どう着たってドラマティックになること間違いなし。
MONCLERモンクレールプレミアムダウンウェアの歴史はモンクレールの歴史と言っても過言ではない。アーカイブの名品をベースに2011年に発表したモデル「マヤ」は揺るぎない傑作だ。無数のフォロワーを生むこととなった印象的な質感で発色の良いナイロンシェル、フランス規格協会が定めた最高品質基準をクリアしたグースダウン、飽きのこないタイムレスなデザイン。その魅力をそのままに、今季も登場することとなった。こんなうれしいニュース、放っておけるわけがない。
DSQUARED2ディースクエアードアンカーボタンが10個並ぶヴィンテージスタイルのピーコートは、軽やかなナイロンの表地で洗練された佇まいに。ポケットフラップや襟、ラペルをカシミヤ混ウールで切り替え表情豊かに。デニム&スウェットと合わせた普遍的スタイルにも、不思議な新鮮さが表れるから面白い。裏地は印象的な赤いキルティングがあしらわれている。
パリ&ミラノブランドで見つけてきたアメカジ。デザイン、色使い、シルエット……コレクションブランドによって新しい解釈が加わったアメカジも格好良くて、やっぱり好きみたい。