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2017.10.24

時計

交錯する時の物語。腕時計が紡ぐ男と女のオムニバスストーリー

今年も聖夜がやってくる。あなたはいったい誰とどこで過ごすのだろう。そんなふたりの時を刻むのが「セイコー ガランテ」だ。異なるふたつの個性が紡ぎ出す、男と女のショートストーリー。さまざまな想いが交錯する夜、きっと新たな物語が生まれるに違いない。
二律背反が生むラグジュアリーが狩人の夜を飾る
SBLA105 スプリングドライブ

ケース、ベゼル、文字盤に超精細な加工技術によって傷を表現するとともに、ガラスにもヒビ割れの凝った演出を施す。マザーオブパール(白蝶貝)を用いた多層構造の文字盤と3本の円柱(エンタシス)には煌びやかなダイヤモンドをセッティングし、力強さの中にもラグジュアリー感を漂わせる。第二時間帯を示すGMT機能も備わる。11月10日発売予定。数量限定50本。SSケース、44.9㎜径、スプリングドライブ。100万円/セイコーウオッチ 0120–061–012
聖夜ともなれば、街はひと際華やぎ、誰もが一夜の期待に心躍らせる。本来は心穏やかに過ごす夜だろうに、まるで対極のようだ。だがある種、不謹慎だからこそ心がざわつくのかもしれない。
今こうしてパーティに準備しているブラックタイにしても原型は英国海軍の略礼服であり、カマーバンドも勲章や軍刀を吊るすストラップがルーツといわれる。それは盛装とミリタリーファッションという二律背反であり、そこに凛々しき艶が薫り立つ。まさに今宵のパートナーを得ようとする俺には相応しい戦闘服ということだ。
ドレスアップを完成させるのがセイコー ガランテだ。そのケースとベゼル、文字盤には深く大きな傷が入り、ラグジュアリーにデザインされた調和を引き裂くようだ。だがその荒々しい傷が男らしさを感じさせる。
ベゼルに刻まれたパターンは蛇とリンゴを意味し、傷による分断はアダムとイブの楽園の終わりを象徴するという。だがその先に本当の幸福がある。そんな物語も聖夜の腕元を飾るに打ってつけじゃないか。
だが、ふと考えた。禁断の果実を食べていたのを神に見つかったアダムは、驚いてリンゴの芯を喉に詰まらせてしまう。それが喉仏を“アダムズアップル”と呼ぶ由来だ。だがそもそも実はすべてイブに食べられてしまい、芯しか残ってなかったのかも。アドバンテージはやはり女性にある。鏡には自嘲する俺が映っていた。
 
移ろいゆく時に映し出される幸せは万華鏡のように
SBLM009 メカニカル

ケースを円柱で支えた建築的なデザインはそのままに、シンプルなベゼルとケースサイドにより、落ち着いた雰囲気を醸し出す。文字盤はガランテの頭文字、「G」を合わせ鏡のようにカットワークしたフレームとの多層構造に、ダイヤモンドをセッティング。センターには男女を模した秒針とGMT針を備える。セイコープレミアムウオッチサロン限定モデル。数量限定100本。SSケース、45㎜径、自動巻き。60万円/セイコーウオッチ 0120–061–012
私はパーティが苦手だ。決して人見知りではなく、初めての人とも打ち解けるし、知った顔を見つければ話も弾む。だが一方でさまざまな思惑が入り交じる喧騒に疲れてしまうのも事実だ。聖夜ともなればなおさらどこかはき違えた賑わいに違和感が募るのだ。
そんな私の心を見透かしたのだろう。夫は早々に帰ろうと提案し、私もそれに従ったのは言うまでもない。そしてパーティ会場をあとにしようとした瞬間、すれ違ったタキシード姿の男性の時計に目が留まった。
美女の手を引く腕元には、雰囲気は異なるが夫と同じセイコー ガランテがあったのだ。ハンドルを握る夫が着けたガランテは個性的なデザインながらケースの厚みを抑え、ジャケットの袖口にシックに収まっていた。特に夫が気に入ったのは万華鏡を思わせる文字盤だ。彼の言葉を借りれば、万華鏡は元々、灯台の光を遠くに届かせる研究をする中で偶然発見されたそうだ。
この時計もまたふたりの人生を照らし、次々と現れる美の深遠のように、これからも変わらぬ新たな発見に満ちた時をこれまでのように刻み続けていくだろう。思いに耽る私を自宅で待っていたのは、ささやかだが愛情を込めてセッティングされた食卓だった。
それは夫からのサプライズであり、夫婦同伴だからとわざわざ外で待ち合わせをしてまでパーティに連れ出したのもこのためだった。どうりで約束の時間に遅れたわけだ。ほら、やっぱり幸せは万華鏡だ。ほのかなキャンドルライトの下、今日が聖夜であることを思い出した。
 
[問い合わせ]
セイコーウオッチお客様相談室
0120–061–012
www.galante.jp
星 武志(エストレジャス)=写真 石川英治(Table Rock. Studio)=スタイリング 柴田 充=文

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