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2017.10.13

ライフ

男の最強肌ケアは“入浴”!? 汚れは湯船で落とすべし!

風呂とオッサン vol.2
家庭を持つオッサン世代にしてみれば、風呂はひとりになれる数少ない場所。日々の疲れを癒やし、明日への英気を養うためのエナジースポットだ。しかしそのことを意識せず、ただ“気持ちよく”入っているだけの人がほとんどでは? いやいや、風呂の楽しみは深い。身体の調子を整える健康効果、そしてエンタメ溢れる小さな個室。すなわち、探求の余地がある“風呂ンティア”なのだ!
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いくら仕事のうえで脂が乗っていたとしても、肌まで脂ぎっていては見た目の評価は得られない。最近はオトコ向けのスキンケア製品も充実してきたが、「入浴に勝るスキンケアはありません」と語るのは、東京都市大学教授で温泉療法専門医の早坂信哉氏。シャワーで済ませず、しっかりとお湯に浸かることで皮脂が除去でき、清潔かつ美しい肌を保てるのだそう。その効果について、詳しく伺った。

オトコの肌だってデリケート! 皮脂は湯船で溶かして優しく除去すべし

「身体を清潔に保つにはシャワーもいいのですが、全身くまなくお湯を当て続けるのは難しい。特に皮脂や匂いが気になる部分は、へこんだり隠れたりしていることが多いです。そのため、全身をきちんと洗うには、すっぽりお湯に浸かってしまうのがいい。より効率よく、全身をキレイにできます」
お湯に浸かって温まることで、特に皮脂の除去には効果テキメンだという。その理由とは?
「バターを思い浮かべていただけると分かりやすいと思いますが、冷やせば固まり、温めると溶け出しますよね。脂質は高温になるほど流動性が高まります。皮脂も同じ脂質なので、温めることで柔らかくなって、肌からはがれやすくなる。つまりお湯にしっかり浸かって肌を温めるだけでも、こすらずとも皮脂がかなり落ちるということです」
なお、42度を超える熱いお湯だと、炎症やかゆみのもとになる物質「ヒスタミン」が皮膚に生じやすくなり、肌荒れの原因になりうるため避けた方がいいとか。40度のお湯に、延べ10分から15分ほど浸かるのがベストだそう。
「入浴前にシャワーで身体をくまなく洗う人もいるかもしれませんが、1回浸かってから洗った方が皮脂も取れやすくなります。身体を洗うときは、あまりこすらないことが一番大事。タオルでゴシゴシ洗うのは、肌に悪影響です。男性の皮膚は女性に比べて厚いと思われがちですが、実際はさほどの違いはなく、デリケートであることに変わりありません。ラップ1枚から2枚分の厚みしかないため、強くこすると簡単に傷つきます。『泡立てネット』などでよく泡立てた石鹸の泡を手につけて、撫でる程度で十分です」
男性の場合、念入りに洗うべきは、顔や脇、胸と背中の中心など。皮脂の少ない手足の末端は無理に石鹸で洗う必要はないそう。

「入浴後の乾燥肌」に要注意! 保湿ケアできる入浴剤もおすすめ

ちなみに、「垢すり」は避けた方が無難だと早坂教授。いくらすっきりして気持ちが良くても、「垢」は皮膚の一部である角層であり、これを無理にはがす行為のため、バリア機能が弱まり刺激に過敏になりかねず、肌にかゆみがあらわれる可能性が高くなるのだとか。
入浴は基本的に肌に良いことだが、注意すべき点もあるようだ。
「肌の角質細胞には、細胞間脂質と呼ばれる“天然の保湿成分”が存在しており、水分を蓄えています。細胞間脂質は、肌の潤いをキープするうえで要となる物質ですが、この細胞間脂質はお湯に浸かると、皮脂とともに流失してしまいます。そのため、長風呂をしたり、一日何度も入浴したりすると、乾燥肌につながってしまいます」
肌のことを考えると、入浴は1日1回、就寝前に。もし、どうしても寝起きの加齢臭が気になるようであれば、朝41度くらいのシャワーで1分間洗い流せば、匂いのもとになる汗をリセットできるとのこと。
とはいえ、女性と異なり、男性は加齢によって皮脂が減っていくことがないため、乾燥ケアにはそこまで気を配らなくてもいいようだ。それでも、風呂上がりに肌のカサカサが気になる場合は、入浴剤を取り入れるのも手だそう。
「保湿系の入浴剤を使ってみるのもおすすめです。たとえば、『ホホバオイル』や『米ぬか』など、自然な保湿成分が入っているものは肌馴染みが良いと思います。最近は浴室内で塗ってシャワーで流すインバスケアと呼ばれる保湿を重視した化粧品も登場しています」
肌にとって負担が少ない入浴方法は、皮脂をコントロールするうえでも重要なポイント。毎日の入浴で、脂も臭いもスマートに取り去ろう。
取材・文=末吉陽子(やじろべえ)
早坂信哉/東京都市大学人間科学部教授
1968年生まれ。自治医科大学医学部卒業後、地域医療に従事。2002年、自治医科大学大学院医学研究科修了、同大学医学部総合診療部、浜松医科大学医学部准教授、大東文化大学教授などを経て、現職。博士(医学)、一般財団法人日本健康開発財団温泉医科学研究所所長、温泉療法専門医。著書に『たった1℃が体を変える ほんとうに健康になる入浴法』(KADOKAWA)、『入浴検定 公式テキスト お風呂の「正しい入り方」』(日本入浴協会)がある。
http://hayasakashi.wixsite.com/bath/resume
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