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ガンダムを、『THE ORIGIN』として作り直すことが自分の努め


ガンダムの誕生に関わったレジェンド中のレジェンドだ。きっと、安彦先生に関わるスタッフは、緊張しまくりに違いない。
「どうですかねぇ(笑)。サンライズ(アニメ制作会社)に行くのは打ち合わせくらいで、制作進行が原画を自宅に持ってきてくれるんです。僕の本業は漫画家だけど、原画が気になるから第一優先でチェックして、また漫画の執筆に戻る。次の日チェックした原画を取りに来てくれるわけです。このスタイルはすごく気に入っているんですよ」
こうして作られた本作は、本編が80分を超える作品になった。これまでの4作は60分強だったが、今回は「フォーマットの縛りが取れた」とのことで、ルウム会戦のイントロダクションや、見目麗しい女性キャラクター、クラウレ・ハモンによるピアノの弾き語りをフルコーラスで収録するなど、「とても映画的なアプローチがとれた」という。こういった“こだわり”の数々は、実は安彦先生の長年にわたる思いが結実した成果だ。
「ずっと悔やんでいたのは、シリーズの根幹にあるファーストガンダムが正視しがたい状態で、30年以上、人目にさらされてきたことです。ガンダムがひとつのカルチャーになって、枝葉を伸ばしてさまざまな作品に派生した今、オリジナルをもう一度作り直したい。それが自分に課せられた努めだと思うんです」
ファーストガンダムは制作当時、潤沢な予算や制作期間が与えられず、半ば突貫で仕上げられたものなのだ。過酷さから倒れた安彦先生は、後半に制作の最前線を離れざるを得なかった。ゆえに安彦先生、37.5歳におしえたいことは、当時の忸怩たる思いを払拭するために作った本作そのもの。これからガンダムを知るならまずは『THE ORIGIN』シリーズだし、今から見ても遅くはないのだ。だから当然、前日譚のみならず本編までアニメ作品としてキッチリ世に出したいと考えている。


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