ジャズというと、オシャレなバーやなんかでかかっている音楽とのイメージを持つ方も少なくないでしょう。しかし、ジャズは近年確実にアップデートして、時代に即したものへと変化しています。ということで今回は、改めてジャズ入門篇。
「オーシャンズコンピ」を最初から読むモダンジャズ以降の流れを追いながら、最新のジャズまでを一気に聴くことができる選曲です。ちなみに本誌別冊『
OCEANS FREEDOM』でもジャズについて4ページほど書いていまして、そちらとも内容がリンクしていますのでぜひ参照ください!
#1. Yardbird Suite / Charlie Parkerモダンジャズの幕開けにあたるビ・バップを代表するミュージシャンといえば、サックス奏者Charlie Parkerがまず思い浮かびます。1940年代中盤に録音されたこちらは、Miles Davisを含むセプテットによるなめらかかつスリリングな演奏が光ります。
#2. Blue Rondo a la Turk / Dave Brubeckビ・バップからやや時代が下って脚光を浴びるのがウエストコースト・ジャズ。よく練られた編曲の知的で洗練されたジャズが売り物でした。チェット・ベイカーなどと並んでこのシーンの中心であったピアニストDave Brubeckのクラシカルな一曲。
#3. A Foggy Day / Charles Mingus「モダンジャズの黄金時代」とも称されるハード・バップ期には、気迫たっぷりの名盤が数々登場しますが、ベーシストCharles Mingusの『直立猿人』もそんな一枚。Gershwinのスタンダード曲を、楽器によるクラクション音などを交えつつ演っています。
#4. Waterfall / Weather Reportさまざまな音楽の要素を融合し、ジャズの技巧でそれを表現するのがフュージョン。70年代のフュージョン黎明期から活動していたのが、Miles Davisのアルバムに参加していたJoe ZawinulとWayne Shorterが中心となり結成されたWeather Reportです。
#5. Decoy / Miles DavisMiles Davisが電化に舵を切ったのは『In a Silent Way』(1969)あたりから。以後、より折衷的な音楽を展開しますが、この曲は1984年のアルバムのタイトル・チューン。ポリリズミックなリズムに乗るトランペットは最近のジャズと並べても遜色のない新しさ。
#6. Where I’m Going / Thundercat近年のジャズを語る上で避けて通ることのできない存在となったThundercat。今年のFUJI ROCK FESTIVALのステージも話題になりました。6弦ベースを自在に操るメロディアスなベースプレイと、現代的なビート感覚が同居した、今聴くべきジャズ。
#7. Milestones / Miles Davis & Robert Glasper鍵盤奏者Robert Glasperは、現代ジャズ・シーン興隆の立役者のひとり。ヒップホップのビート感覚とジャズの技法を見事に融合させています。本作はMiles Davisの曲を素材にGlasperが再構築した一枚。アップデートされた21世紀版マイルス!
#8. Jrifted / Jeff ParkerTortoiseやIsotope 217などで知られるギタリストJeff Parkerの最新ソロ作品も現代的なジャズの好盤。こちらは即興演奏部分とJocelyn Brownのラヴァーズ・クラシック「Day Dreaming」のサンプリング・ループがマッドなグルーヴを醸し出す中毒性のある一曲。
#9. Silurian Blue / Floating Pointsイギリスのプロデューサー、DJ、作曲家Sam ShepherdのプロジェクトFloating Pointsの最新作は、アメリカ南西部のモハーヴェ砂漠の環境音、自然音とプログレッシヴ~ポスト・ロック的バンドサウンドを合わせた壮大なスピリチュアル・ジャズ!
#10. Truth / Kamasi Washington2015年にリリースされたアルバム『The Epic』の、ジャズの歴史を網羅するかのような内容に度肝を抜かれたサックス奏者Kamasi Washington。9月22日(金)に発売のEPからの先行シングルであるこちらは長尺の美しいスピリチュアル・ジャズ。曲の展開も感動的!
<プロフィール>青野賢一1968年東京生まれ。ビームス創造研究所 クリエイティブディレクター、ビームス レコーズ ディレクター。ファッション&カルチャー軍団ビームスにおける“知の巨人”。執筆やDJ、イベントディレクションなど多岐にわたる活動を展開中。