人に歴史ありというが、時計との出会いにも歴史がある。街角で見つけた「いい時計」。そいつを選んだ「いい男」は、いったいどんな理由で手に入れ、身に着けているのか。その関係は十人十色。時計の数だけストーリーがある。
なりたい自分を映し出す、装いの特別なアクセント役かつて営業職時代に、好成績を残した自分へのご褒美として購入。もともと社会人になったら高級時計を身に着けたい願望があったので、いいきっかけに。「アベンジャー」を選んだのは、憧れの先輩がブライトリングを着けていたことも一因。「ラウンドケースとアラビア数字の組み合わせが好み。ロゴに込められた海と空に精通するプロの計器としての信念にも惚れました」。時計をファッションとして楽しみたい寺田さんは、存在感あるこの厚い時計をアクセントにする。
自分の心をONにするスイッチのようなもの
親子仲睦まじい坂田さんの腕に輝くのは、名機「カレラ タキメーター クロノグラフ レーシング」。結婚記念として奥さまから贈られたものだ。「男っぽいクロノグラフのデザインに惹かれて、ずっと欲しいと思っていたんです」と手に入れた喜びを語ってくれた。以来、「仕事でも休日でも使える」と大車輪の活躍という。ご自身初となるこの機械式時計には、「着けていると背スジがピンと伸びる気がする。自分の心をONにするスイッチですね」と特別な価値を感じているご様子。
デザイン、ブランドの安定感そして、資産的価値も魅力
不朽の名作といっても過言ではない「ロイヤルオーク オフショア クロノグラフ」。黒いラバーのベゼルや格子型のダイヤルによって、一層スポーティ感を高めているモデル。北川さんが選んだのは、アーノルド・シュワルツェネッガーとの限定コラボ品。「ローマに住んでいる弟を訪ねた際、時計店で薦められて。黒ベゼルも気に入ったし、三大メーカーに数えられるブランド力にも惹かれました」。値崩れしにくい点で、資産的な価値があるところも大きな魅力なのだとか。
ストラップ交換で万全の汗対策&アクセ効果白×紺を基調とした爽やかな出で立ちの立石さん。お似合いなのが、ネイビーのラバーに付け替えたストラップの「ルミノール マリーナ」だ。雑誌を見て欲しい思いを募らせていた学生時代を経たのち、10年ほど前に購入した。ボリュームからくる存在感に惚れ込んでいて、夏はラバーストラップに交換し、汗を気にせず着用しているという。「迫力のあるデザインなので、腕元にあるだけで格好がつきます」と語るとおり、軽装になる夏場はアクセサリーとして大活躍中だ。
こんな話を聞いていると、左腕に目を落としてふと思う。自分がこいつを買ったのは、何がきっかけだったっけ。そんな自分と時計のストーリーに思いを馳せれば、さらに愛着が増してくる。またひとつ時計の楽しみ方が増えそうだ。