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2017.08.05

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大事なのは“消費を突き抜けること”。そうすればお金は逆転して入ってくる

同世代で資産運用をうまくやっているヤツはどんなことをしているのか……。30代後半、IT系スタートアップ企業で部長職をしているTさんは、33歳で結婚したとき、趣味の車や無軌道なお金の使い方をしてきたせいで、貯金はほぼゼロ。
ところからここからわずか5年ほどで、リゾート地沖縄にふたつのマンションを保有して毎月20万円の不動産収入を得ているほか、不動産売買で頭金を作り、都内の超一等地にある8000万円の自宅マンションを購入するなど一気に資産家に。なんとも、うらやましい状態にいます。
Tさんに一体、何が起きたのか。全6回にわたってお届けする、Tさんが「こっそりうまくやっている」マネー運用術、最終回です。
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沖縄のマンションの売却益を元手に、東京のタワーマンションを購入

IT系スタートアップ幹部のTさん「沖縄でのマンション売却のタイミングがとても良かったんです」
リゾート地沖縄にマンションを買い、マンションレンタルに出すことで収入を得られる、ということに気づいたTさん。常連のお客さんのバッティングが始まった頃から新たな投資を考え、最盛期には4つのマンションを所有することになります。そして資産管理会社を作り、事業として不動産の運用を行うことで移動や宿泊が浪費から「必要経費」とすることができるようになりました。
「そうこうしているうちに、マンションの値段がどんどん上がっていったんです。そこで、2つのマンションを手放してしまうことにしました」
2200万円で買ったマンションは、2900万円で売却。2500万円で買ったマンションは3400万円で売却。つまり、わずか5年の間に、マンションレンタルの賃貸費用で最盛期に年600万円の収入を得ることができただけでなく、売却によって1600万円もの利益を手にすることになったのです。
「びっくりしましたね。もともと不動産投資に興味があったわけではまったくないですから。今は環境が変わってきていますが、沖縄でのマンション売買が本当にいいタイミングだったんです」
マンション運用始めて5年。東京に暮らしていたTさんにも、大きな心境の変化が起きていました。住む家も購入しよう、と思い立つのです。実はこれこそが、ふたつのマンションを売却した理由でもありました。購入資金に充当させることを考えたのです。
「当時、住んでいたのは都心のリバーサイドの賃貸マンションでした。ちょうど同じ敷地内に分譲マンションもあって、買うならこれしかない、と考えていました」
沖縄で徹底的に情報収集をしたのが、Tさんでした。東京でも、もちろん徹底的にやりました。人口が伸びているエリアか。そうすれば、住宅ニーズが高止まりする、価格は下がりづらい、と読んでいたからです。
「これは沖縄でもそうだったんですが、もうひとつ注意深く見ていたのが、今後どのくらいマンション開発が進みそうか、ということでした。東京には人気の注目エリアもありますが、これからどんどん新たなマンション開発が進んでいくのであれば、価格下落は避けられないと思いました。逆に、もはや開発をする余地はなさそうだ、というところは高止まりするしかない」
目の前にある分譲マンションに売りが出ないか、たくさんの不動産業者に声をかけ、「売りに出たら、すぐに連絡を」と言っていたそうです。同時に物件情報も徹底的に洗い、部屋の間取りまで頭に入っていたとか。
「なので売りに出たときは、即決でした。実は内覧もしていないんです(笑)。部屋番号がわかれば、間取りがすぐに浮かぶほどになっていましたので(笑)。8000万円台の中古マンションを、電話だけで申し込んじゃう人はあまりいないかもしれません。でも、どうしてもこのマンションが欲しかった」
賃貸収入もあり、奥さんも東京で働き始める中で、沖縄のふたつのマンションは、どんどん繰り上げ返済をしていきました。ふたつ合わせても東京のマンションより、ずっと安いからです。すでにローンは終了。一方で、東京のマンションはしっかり住宅ローンを組みました。
「金利が安い上に、今は住宅ローン減税があります。これを使わない手はない。共働きですから、沖縄のマンションの売却益は手元に残して奥さんとペアローンにして頭金なしのフルローンで購入。フルで減税枠を使っています」
今は共働きの収入に加え、ふたつの沖縄のマンションが月額20万円ほどの家賃収入をもたらしてくれています。
「売却で1600万円、さらに毎月の家賃収入。本当にありがたいことでした。改めて思ったのは、実はしっかりした不動産はリスクが低い、ということです。それこそ、株式投資に比べたら、圧倒的に低いと思います」
「例えば、しっかり賃貸相場を研究した上で3000万円の不動産を買ってそれが翌年に1000万になることはなかなか無いと思います。でも値動きが早い株式投資ならよくありますよね。それに不動産は毎月収入をもたらしてくれる。手間はかかりますが、資産管理会社を作って事業としてきちんとやれば必要費用は計上もできますしね」

いつか住みたいと本気で思えるセカンドハウスなら、資産を残すことができる

Tさん「奥さんには頭があがりませんね(笑)」
「貯まらない元凶として車と旅行を上げましたが、3つ目としてようやくわかったのが、家賃でした」
東京でのマイホーム購入にはリスクがあるのも事実です。新築マンションは買った瞬間に2割は資産価値が下がる、などという話もあります。だから賃貸で好きなところ好きなだけ自由に住む、という魅力もあるわけですが、家賃は払わなければいけません。
「でも、そこに必ずしも住むわけではない不動産、言ってみればセカンドハウスをかますと、資産を残すことができたりするわけです。ただ払いっぱなし、使いっぱなしの家賃にしないで済む。働いても働いても何も残らないなぁ、ということがなくなるんです。子どもにも残せますよね。その意味で、今は以前と違って、精神的にも落ち着いた状態が保てています」
ただし、大成功したTさんにはひとつのポイントがあった、と言えるかもしれません。それは、お金儲けを目的にしなかったことです。
「購入するのは、あくまで、自分がいつか住みたいと本気で思える不動産でないと。例えば、ワンルームマンションはそうじゃないでしょう。転売目的で買う家もそうですね。でも、僕の場合は違いましたから。沖縄に家族で行けるリゾートマンションだったら夢があるじゃないですか。いずれ、住んでもいいわけだし」
大事なのは、消費を突き抜けることだ、とTさん。
「良いホテルに泊まるのは、消費にしかなりません。でも、それを突き抜けて高級マンションを買ってしまうと、お金は逆転して入ってくるようになるんですね。これは本当にパラダイムシフトでした」
ただし、そのきっかけを作ってくれたのは、奥さん。自らを資産家にしてくれた奥さんに、Tさんは今もまったく頭が上がらないそうです。でも、奥さんの言うことを素直に聞いたからこそ、今がある。これもまた、Tさんの素晴らしい才覚だった、といえそうです。
(おわり)
取材・文/上阪徹
1966年、兵庫県生まれ。アパレルメーカーのワールド、リクルート・グループなどを経て、94年よりフリーランスに。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに、雑誌や書籍などで幅広く執筆やインタビューを手がける。著書に『成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?』(あさ出版)、『僕がグーグルで成長できた理由』(日本経済新聞出版)、『職業、ブックライター。』(講談社)、『成功者3000人の言葉』(飛鳥新社)、『リブセンス』(日経BP)など。


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