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2017.08.01

あそぶ

さまざまな想いが去来。熊谷隆志の琴線に触れた風景フォトギャラリー

スタイリストとしてだけでなくさまざまな分野で活躍し、オーシャンズ世代の先頭を突っ走るアニキ・熊谷隆志さん。今回は、旅行シーズン到来に合わせて熊谷さんがこれまで撮り溜めてきた風景写真の一部をチラッと。
「熊谷隆志のお洒落で悪いか!」を最初から読む

感性に身を任せて……。“ながら風景写真家”とっておきの一枚とは

昔、敬愛してやまなかったふたりの写真家、高橋恭司さんとウィリアム・エグルストン。彼らが撮った、サンタフェのなんの特徴もない風景を僕もカメラに収めてみたくて、その場所を探しに行ったことがある。結局、その景色は見つけられなかったけれど、彼らだって撮影場所を問われたら答えられないかもしれない。それくらいなんの変哲もない風景。ただ、何かが彼らの感性を触発したのは事実で、それを知りたいと思った。考えてみたら僕自身、「この風景を撮りたい」というより、旅しながら、クルマで移動しながら、気付けば写真を撮ってきた。こうして過去の「ながら写真」を見渡すと、そのときどきで自分の琴線に触れたモノ・コトが垣間見えて面白い。

Greece

ギリシャと聞いて思い浮かべる景色ではないけれど、車を走らせながら思わず撮ったのが、この“植物萌え”な一枚。大きなユーカリの木、乾いた景色が僕の印象に強く残っている。

 

Texas

2015年に開催した写真展、テキサスへの旅を綴った「NAKANO TEXAS」。そのメインビジュアルにも起用している、ジョシュアツリーを背景に撮ったセルフポートレート。

 

Cappadocia

世界遺産として有名なカッパドキアで撮った1枚。背景の曇天を埋めるドットは、気球。まるでSF映画のワンシーンのような荒涼とした世界。政情が安定したら、また行きたい。

 

Alaska

2003年、アパレルブランドの仕事で訪れたアラスカにて。不穏な空気すら漂う鬱蒼とした森と、民家に掲げられた大きな鹿の角に惹かれて。確か、リコーのGR1で撮った記憶がある。

Cote d’ Azur

パリに住んでいた20代の頃に敢行したバックパッキングで訪れた地中海。これは、のちに仕事で再訪した時に撮影した1枚で当時と何ら変わらぬ景色に感動したのを覚えている。
 

Spain

スペインのどこかの街角で遭遇した、ヤシの絡まった巨大なブーゲンビリア。その燃えるような色に圧倒されて、思わずシャッターを切った。日常に潜む非日常なワンシーン。
 

Yakushima

屋久島は神秘的で、本当に神様がいるような気がした。白谷雲水峡の縄文杉と苔が描く、むせ返るような深い緑の風景に、画角云々はさておき、反射的かつ感覚的に撮影したもの。

 

Scotland

撮影で訪れたスコットランドでは、スバルのクルマを借りて、ネス湖やスカイ島なども巡った。けれどいちばん記憶に残っているのは、モーターホームの一群。僕もいつか手に入れたい。
 

New Zealand

初期レイクタホ(自身のフォトグラファー名義)の作品。撮影に夢中になりすぎて柵を乗り越えようとしたら「牧場内に外の菌を持ち込むな」と怒られた。世の中のルールも、写真を通して教えてもらった。
 

Mexico

メキシコを象徴するものは数あれど、僕にとっては街中で目にするオンボロで角張ったカスタム車もそのひとつ。この1台から、その土地で暮らす人の独特な文化や慣習、生活が透けて見えてくる。
見よ、誰も見たことのないこの圧倒的風景! といった一枚ではない。いわば、誰も目に留めないような「なんてことはない風景」。でもなんかいい。そんな写真を旅先でぜひみなさんも。

熊谷隆志(くまがいたかし)
1970年生まれ。渡仏し、’94年スタイリストとして活動開始。’98年以降はフォトグラファーとしても活躍。東京・原宿にあるセレクトショップCPCMのディレクターを務め、ファッションからクラフト、ワークショップなどのモノ・コトを通して、本質的なウェルビーイングを提案している。東京・駒沢ではパーソナルショップ、ウィンダンシーを運営。また、グリーンライフにも造詣が深く、趣味はサーフィン。
熊谷隆志=写真


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