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「え! 3割も」と思われるかもしれませんが、逆に5年早く受け取れるわけですから、一定の年齢までなら、トータルの受け取り額は早くもらい始めることによって多くなります。具体的な損益分岐点は76歳です。つまり76歳よりも早く亡くなれば60歳からもらい始めたほうが多くもらえることになりますし、逆にそれ以上長生きすればトータル受け取り額は65歳からのほうが多くなります。

70歳開始なら、受け取り額はなんと42%もアップする

では逆に65歳から受け取らず、70歳まで繰り下げしたらどうなるかということですが、こちらは繰り上げとは逆に年金の受け取り額はアップします。先ほどの場合は1カ月早めることで0.5%のダウンでしたが、繰り下げる場合、1カ月遅らせることで0.7%アップします。ではこちらも最大限5年、すなわち70歳まで受け取り開始を遅らせると、0.7%×12カ月×5年=42%、何と70歳からの受け取り額は42%もアップします。
では、こちらの場合、遅らせると4割以上も支給額は増えると言いますが、5年も遅らせるのですからある程度長生きしないと65歳から受け取り始めたほうが得だということになります。ではこの場合は何歳でトータル受け取り額が逆転するかといえば81歳です。この年齢は男性の平均寿命とほぼ同じくらいです。もちろん、それ以上長生きすれば「トータルの受け取り額」はどんどん広がっていきます。
よく「どっちが得か?」ということを言われますが、これは正直わかりません。なぜなら、何歳まで生きるかは誰にもわからないからです。したがって年金を損得で考えてもあまり意味がないのです。年金は貯蓄ではなくて保険です。長生きしたときでも生活に困らないようにするためのものです。だから支給は終身、つまり死ぬまでもらえますし、原資が枯渇しないように現役世代で保険料を賄う仕組みになっているのです。


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