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結局、「これが絶対おススメ」という受け取り方があるわけではなく、どういう受け取り方が良いかは、その人の考え次第ですから自分で決めればいいのです。ただ、受け取り方にはこういう年齢の幅と選択肢とがあるということは知っておいてもいいと思います。
それに、考えようによっては5年我慢することで42%も増える(年利にすれば8%以上)のですから、こんなに利回りの良い資産運用はありません。下手に資産運用するぐらいなら、そのおカネを65歳から70歳までの生活費に使ったほうが有利と言えるかもしれません。

最大5年さかのぼって、まとめて受け取ることも可能

さらにこれはあまり知られていないかもしれませんが、年金をまとめて受け取るという方法もあるのです。先ほど65歳から受け取る年金を70歳まで遅らせることができるという話をしましたが、そのためには何か特別な手続きがいるわけではありません。年金というのは請求しないと受け取れませんから、何もしないでいると自動的に繰り下げになります。
仮に65歳時点で考えて、「受け取りを70歳まで遅らせよう」と考えたとします。ところが3年ほど経って68歳の時に、何か大きな病気をしたり、まとまったおカネが必要になったりする事態が起きたとしましょう。
その場合、68歳で受け取るにあたって、本来受け取り開始になるはずだった過去3年分もさかのぼってまとめた金額で受け取ることもできます。もちろん、その場合はそれまでの金額もそこからの受け取り額も0.7%のアップ分はありません。つまり年金の支給請求というのは5年さかのぼることもできますので、「単に請求を忘れていた」として請求すればそれまでの未払い分をまとめて受け取ることも可能だということです。
このように公的年金の受け取り方には、かなり融通の利く部分があります。どういう方法がベストなのかはその人のライフプラン次第ですから、自分で考えて決めれば良いと思いますが、少なくともこういう選択肢は知っておいていいでしょう。
著者:大江 英樹 (経済コラムニスト、オフィス・リベルタス代表)
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記事提供:東洋経済ONLINE


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