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2017.06.20

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知ったかぶりはNG!ひとり飯の常連店を作ると“うれしいこと”が起きる?


店員の人に愚痴っていたり、ずっとスマホをいじっていたり、さびしいと思われるのが心配だったり……。いやいや、男のひとり飯ってもっと自由で格好いいもんなんです! そこで目指すべきは“グルメ・ヒトリスト”。すなわち自由に食を謳歌する一匹狼です。女性が思わず惚れるような“グルメ・ヒトリスト”を目指すべく、ひとり外食の楽しみ方や振る舞い方を、達人に教えてもらいましょう!「ひとりで店には入れない」なんて後ろ向き。イメージが180度変わる、ひとり飯のすごい世界とは⁉︎
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通いなれた場所に連れていってもらうと、胸が高鳴ります。それがデートならもちろん、友達や同僚との食事でも、いいなと思う人が「常連になっている店」に連れていってくれると、楽しみが倍増! そこは別に、オシャレで高級なお店じゃなくていいんです。むしろ家の近所とか、マスターと友達とか、手ごろな価格だとか……「本当に頻繁に来てるんだな」とわかるようなリアルなお店がいい。店でのくつろいだ笑顔を見ると、その人の素を垣間見た気がして、嬉しくなってきます。こちらもリラックスできますしね。
だからこそ、よく行く店がまったくなかったり、「店はどこでも適当でいいよ」と丸投げしてくる人に会うと、ちょっとガッカリ。食への興味のある・なしは個人差があると思いますが、相手との距離を近づけるのに“常連になっている店”って、すごい効力があると思うんですよね~。
とはいえ「どうしたら常連になれるの?」「いつも覚えてもらえないんだけど」というお悩みもあるはず。今回も“外食の達人”本郷さんに、常連になる秘策を教えてもらいましょう!
富永:本郷さんは、常連になると数百回も通うことがあると聞きましたが、本当ですか?
本郷:はい、100回以上通っている店が、閉店した店も含めて4軒あります。50回以上通っている店なら、10軒はあるでしょう。
富永:そこまで「通いたい」と思わせるお店には、どんな共通点があるんでしょうか?
本郷:僕にとってのひとり飯って、一回だけ行くことが目的ではなく、何回も行くことが目的なんです。何回か通ううちに、その店が「自分好みの店になるかどうか」が見えてきますので。
富永:「自分好みの店」というのは、裏メニューが出てくるとか、そういう意味で?
本郷:それもひとつありますけど、通ううちにどんなものを食べるかを記憶してくれる店ってありますよね。たとえば僕が圧倒的に肉好きだとわかると、突き出しを肉に替えてくれたりする。そういう融通を効かせてくれる店が「自分好みの店」で、この関係性ができるとやっぱり居心地がいいので、何百回も通いたくなりますよ。
富永:外でひとり飯をするときって、食事がおいしいのは大前提ですよね。その前提をクリアしたうえで、どれだけ自分にとって居心地のよい店になるかを見定めることは、確かに大事だと思います。
本郷:店のマスターとの相性もありますしね。こればっかりは何度か通わないとわからない。僕が通っていたお店に、創作料理好きなマスターがいましてね。毎月、テーマを決めるとそればっかり作る。日増しに上達していくんだけど、ある日パタッとやめて別の料理に移ってしまうから、もう食べられない(笑)。今はもう閉店してしまったんですけど、よく試食させてくれて……面白い店で、よく通いましたね。
富永:常連になると、お店側がこちらの性格や好みを知ってくれているからこそ、飲食以外の部分での「気遣い」が心地いいですよね。先日、落ち込んでいるとき、行きつけのバーに行ったんですけど……マスターがすぐに察して、適度にそっとしておいてくれつつ、私の大好きな鶏肉料理を差し出してくれて。そういう温かさに癒されることもありますね。
本郷:「こんな気分のときは、この店に」っていう、常連の店は選択肢が多いほうがいいですね。落ち込んでいるとき、お店の人とわいわい話したい気分の日もあれば、ひとりで静かに考え込みたい日もありますし。
富永:本郷さんは、常連になるためにどんな工夫をしていますか?
本郷:まず、行った店が気に入ったら、自分から「おいしかったです、今後ともよろしくお願いします」と名乗り出ます。そして、顔を覚えてもらえているうち、なるべく一週間以内に再訪します。帰り際に、次の予約を入れることもありますね。そのうえで、マスターやシェフとSNSでつながって、僕が本気で外食を楽しんでいる姿を知ってもらう。そして、仲よくなっても、知ったかぶりはしないことです。
富永:知ったかぶりとは、具体的にどのような?
本郷:料理や食材、お酒に対するうんちくをひけらかさないこと。「アガリ」「ムラサキ」など、専門用語を使わないこと。お店の人には敬語で話すこと。
富永:それは素敵な心がけですね……。常連になると「店長とは友達だから」と言わんばかりに、馴れ馴れしくなる人も見かけます。本郷さんの言う「自分好みの店」というのは、決して「なんでもワガママを言って我が物顔に振るまえる店」ということではないですものね。あくまで店と客である前提で、そのなかで「お互いをわかっているからこそのサービス」をしあえる関係が、理想だと思います。
本郷:知ったかぶりをせずにいると、店の大将やマスターがいろんなことを教えてくれます。とくに寿司屋の大将は知識の深い人が多くて、彼らから作法を教えてもらえることは、常連になるメリットのひとつ。客であっても「教えてください」という姿勢でいることも、常連になるためには必要なんじゃないでしょうか。
そんな真面目な姿勢を貫く本郷さんだからこそ、常連になった店から驚きのスペシャルサービス(ほとんどサプライズプレゼント!?)を受けることも。今回は、素敵なエピソードのある、大阪のお好み焼き屋「どんどん亭」さんを紹介してくれました!
本P焼き
本郷さんが20年ほど通い続けているお好み焼き屋さんで、ご夫婦おふたりだけでやっているお店。今でも月に一回は通っているので「訪問回数は、軽く200回を超えている」そう。
「ひとりで行くことがほとんどですが、ときには仕事仲間とも。まずは豆腐のステーキ、次に豚ステーキのガーリックチップのせを頼んでから、お好み焼きか焼きそばをいただきます」
このお店にはなんと、本郷さんの名前がついたお好み焼きと焼きそばが! いずれも具材は豚肉×キムチ×にんにくで、激辛ソースをたっぷりとかけ、半熟卵をトッピング。
「いつも頼むから、僕のあだ名(本P)をつけてくださいました。お好み焼きは『本P焼き』 で、焼きそばは『本辛焼きそば』です」
本辛焼きそば
こんなエピソードがあるのも、何百回通おうとも、いつも心をオープンにして謙虚に「店と食」に向き合う、本郷さんならでは。お互いを知ろうとする積み重ねこそが、いい店&いい常連を生むのかもしれません。
さあ、今夜はいつもより心を開いて、常連になりたい店を訪れてみませんか?
「どんどん亭」
問:06-6359-0330
住:大阪府大阪市北区中崎3-3-9
営:17:30~25:00(24:30 L.O.)
※日曜のみ、11:30~14:00ランチ営業、夜は22:00まで
休:月曜
取材・文/富永明子
フリーライター。レシピ本の企画・編集、グルメ記事の執筆など、食に関する仕事のほか、美容やヘルスケア、ダイエットに関する書籍・記事も多数。趣味はクラシックバレエ。
取材協力/本郷義浩
毎日放送プロデューサー。1964年、京都生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、88年毎日放送に入社。「真実の料理人シリーズ」「ラーメン覇王」「ビビビのB級グルメ覇王」「あまからアベニュー」「水野真紀の魔法のレストランR」など、多くのグルメ番組に携わる。番組関連で取材した飲食店はのべ1万軒、プライベートでの食べ歩きも1万軒以上。近年は、世界でただひとりの麻婆豆腐研究家を名乗り「麻婆十字団」を結成。著書に『うまい店の選び方 魔法のルール39』(KADOKAWA)、『自分をバージョンアップする 外食の教科書』(CCCメディアハウス)がある。

『自分をバージョンアップする 外食の教科書』
本郷義浩(CCCメディアハウス)
「外食」を通して世界を広げることが、仕事もプライベートも今より充実させ、自分をバージョンアップさせる! 本郷さん自身の経験をもとに「冒険的外食術」「リーダーとしての外食術」「モテる外食術」など、具体的な外食の方法を解説した一冊。



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